ようやく試合間隔も落ち着いてきたので試合関連以外の記事を書く時間ができました。
移籍報道もいくつか出ている中、その辺はほっておいてアジアカップを見ての雑感です。
これまでになく楽しみな代表に
ロシアでの戦いが終わり、新監督が就任してから5戦無敗という結果。しかもこれまでになく良い試合内容でかなり期待されてアジアカップを迎えた。直前にこの大会の主役になるはずだった中島翔哉の離脱が発表された時はがっかりした人も多かっただろうけど、幸い左サイドには半年前まで不動の主力だった原口元気がいて、中島の代わりに追加招集されたのは乾貴士とチームの中で最も層の厚いポジションだ。期待値は高いままで開幕を迎える。
しかし初戦のトルクメニスタン戦は3-2と苦戦を強いられることに。もちろん負けそうな気配はあまりなかったし、ボールを保持していたのはほとんどの時間帯で日本代表だった。しかし明らかに苦戦していた。それはなぜか。完全に引きこもってきた5バックの守備を崩すことができなかったからだ。
ハリルホジッチが「デュエル」と「縦に速いサッカー」という日本サッカー流行語大賞を持ち込んでから、攻撃の軸は大迫勇也だ。外国の屈強なディフェンスにも対抗できるキープ力を生かし、まず大迫に当てて時間を作り、そこから2列目を絡ませてチャンスを作る。監督が変わってからもそれは変わらない。中島、堂安、南野と2列目は一新され、より2列目の創造性を生かすことを重視している。中島の不在により、左サイドからの仕掛けは少なくなってしまったがもちろんそれが攻撃を停滞させた原因ではない。
ワールドカップとアジアカップは別の戦い方を
相手は守備にだけ重点を置いていた。あわよくばカウンターで一点を取れればラッキーぐらいに思っていた。ディフェンスと中盤の間もコンパクトでスペースは見つかりにくい。そんな中で大迫のタスクはこれまでと変わらず、ボールをまず収めること。南野も真ん中にいるし、堂安も絞ってくるので、ボールが入って来る前から中央は渋滞気味になる。原口は様子を見てポジションをとっていたけど、あれだけの密集したいにボールを入れてもコントロールするのは容易でなく、ボールの奪われどころになっていた。
そこで思った。日本代表はトッテナムの戦術を参考にするべきだと。
スパーズも引いた相手を崩すという命題には毎度苦しんできて、今年から取り組んでいる方法がある。それは、本来なら最前にいるべきハリー・ケインに思い切ってボールを引き出す役割を与えるというもの。センターバックが最も警戒してくるケインがポジションを落とすことで、守備側からするとマークがずれてくる。そこからボールを展開し再びゴール前に走り込む。このワンクッションを入れるだけでスパーズの攻撃の規則性が不明確になり、守る側は混乱するのだ。
大迫は別に体が強いだけしか強みがないフォーワードではないし、普段ドイツでやっていることを考えれば引いて受ける役割もきっとこなせるだろうと思う。昨年の試合を見ても大迫に変わってワントップに入る選手には大迫と同じ動きを求めているので、今のスタイルは監督としてチームとして決められている役割にすぎない。最前の中央に動きがないことがまず流動性を生まない一因だと思うのだ。
大迫が動いてもゴール前に走り込める選手が今の日本代表にはいる。スパーズでソンやアリの担うチャンスメイクからゴールゲッターまでをこなす存在は南野や堂安が十分にこなしてくれるだろう。固めてくるディフェンスラインを惑わすためにはまずセンターフォワードを動かすことから始めるべきだ。
さらに欲を言えばボランチの二人も時々でいいからもっと高い位置をとるべきだと思う。必ず2列目の後方でパスを引き出すだけの役割に徹しているが、それでは怖さがない。柴崎が持つと必ずパスだとわかる。飛び込む必要がない。シソコとウィンクスは機を見てボールを運んでいくし、ちゃんとその間に後ろをケアする決まりが出来上がっているところを参考にして欲しい。
初戦はどうしても固くなるものなので、試合を通じて行くことで良くなって行くとは思う。ただワールドカップに出てくるような国と戦う時とアジア予選で敗退するような国と戦う時では立場が違う。なら戦術も変化させていかなければいつまでも強くなってはいけない。少なくとも決勝トーナメントに出るまでは余裕を持って見られる試合を展開して欲しいと心から思う。