ここまで各国2節まで、合計12試合が終了したコパ・アメリカ
なかなか全て見るのは難しいとは思いますが、そんなに・・・面白くなくない?
南米らしさは見て取れる
過去に行われたコパはニュースで見るだけのものでした。もちろん普段からブラジルやアルゼンチンのリーグを見ている訳でもありません。向こうでは当たり前に行われているフットボールのスタイルに馴染みのないことが、今回の違和感の要因の一つにあることは間違いないと思っています。ただ、それだけではない部分もあると思うから、今日はそれを描いてみたいと思ったのです。
まずはいい部分から。
球際の争いや駆け引き
これは本当にどのチームもやっぱり南米のチームなんだなと思わせてくれる部分がある。ここぞという場面のタックルは深く入る。悪質で危険なギリギリのラインを突く、独特の間合いだ。あれをやられると次に対峙した時に前回のタックルが頭を過ぎり、迷いと恐れを生む。次回への布石の意味も込めて厳しい接触をするのだ。
受ける側も黙っているわけではない。南米の選手が最も得意とするのはファールのもらい方だ。
痛い接触はもちろん、触れたか触れていないかくらいの時でも、今、もらいどきだと判断すれば必要以上のオーバーリアクションで審判や観客にアピールする。これは正直うんざりするくらい多い。ヨーロッパや他の国と対戦するときや、ワールドカップ等の大会では厳しい批判とブーイングが待ち構えているだろうから、ここまではやらない。やはりこの大会は特別で、普段はヨーロッパのトップリーグでプレーしている選手たちもコパの一員としてピッチに立てば途端に南米の選手の顔をするのは興味深いところ。
接触時のリアクション以外にも、追い詰められてしまったり、囲まれてしまったりして、自分ではもうどうにもキープすることができないと判断した時のファールの受け方は勉強になるところ。ドリブルもパスも諦めて、体を相手に当ててファールももらう技術に関しては南米は世界のトップ。こういったいわゆる「南米らしさ」は他の大会にはないもので、さすがだなと思わせてくれる。
全体的にやや旧時代のスタイル
続いてあまり好きではない部分を。
時計を止める時間が長すぎる
これには要因が2つあって、まずは前述のファールのもらい方のせい
ファールが多いことはまあいいのだが、痛がるシーンとその時間が長すぎて興ざめする。たまに客席から「大した接触じゃないだろ!」とブーイングが飛んでいることから、あれは向こうの基準でも不愉快な場面らしい。何試合かは見ているけど、見た試合ではまだシミュレーションでカードが出た試合はなかった。演技が上手すぎて審判にも見極めは難しいのだろうけど、それはないだろというシーンは1試合に2、3回はあるので抑止力のためにも出してもいいんじゃないかと思っている。
もう一つはVARの活用が下手すぎること
これは間違いなくみんなが感じている。VARの利用ポイントについてはそもそも世界的な問題なのでここではいいとして、判断にいちいち時間がかかりすぎている。まず、無線で通信している場面で長い。偏見と予想に過ぎないけど、VARルームの審判団も多分南米の審判団で、彼らは自己主張が強すぎるせいで意見が固まらないのではないかと思っている。知らんけど。
あとはオン・フィールド・レビューの部分、要するに無線を受けた主審が、ピッチ脇のモニターで該当のシーンを見返すところ。これも他の大会でVARが使用されている場面に比べると長く感じられる。テレビ画面に審査中のシーンが出たり出なかったりするのはなんでなんですかね。見ている側からすると、どの瞬間が問題になっているのかさえわからない時間が続くので、その待ち時間がより苦痛になってしまう。あれだけ待ち時間が長くなると、選手も観客も試合への集中力を失ってしまうから、改善していったほうがいい。
番狂わせがない
一番気になっているのはこっち。
ここまでいわゆるジャイアントキリングが一つもない。せいぜい日本がウルグアイに引き分けたことがサプライズと言えるくらいで、下馬評の低いチームが終わって見れば勝っていたという試合がない。
参加国12ヶ国の中で、抜け出た戦力を有するチームといえばブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、コロンビア、チリが挙がる。それらの国と対戦するチームがどんな準備をしてきたのか、それが見えない。まあ言いたいことが何かと言うと、戦術・戦略性に欠けている、ということ。
それに関してはアルゼンチンだって酷いものではあるが、やはり南米の国はチームとして戦うという部分が欧州諸国に比べると足りていないなと試合を見るたびに感じられる。守備重視に入って引き込んで、一気に人数をかけたロングカウンターを狙うとか、最善の大柄な選手に放り込むだとか、明確な戦術が感じられない試合が多い。攻められているから引いて、カウンターは何か決まりごとがあるわけでもなく前線の個人技のある選手に任せる。がほとんどだ。爆発力のある選手はいるのだろうけど、それに頼り運に賭けるサッカーではなかなか番狂わせは起こらないだろう。
あと、視点は変わるけど、全体的にプレーメーカー気質の選手が少ないかな。
たぶん南米では小さい頃から競争が激しくて、目立った結果を残すには数字が必要だったりする背景もあるとは思う。一瞬の輝きでチームに貢献するアタッカーはいるけど、パスを主体に周りを生かすタイプの選手がほとんどいない。試合中に対峙する相手を分析して対応するスキルは高いと言われているのに、味方を見てプレーできる選手が出てくればゲームコントロールの面でももっと成熟してくるのではないだろうか。
あと1試合ずつやれば決勝トーナメントになるし、そうなればもう少し戦力的に拮抗した試合が増えてきていい感じの接戦が見られるのかなとも思っています。それに負けても次があるグループリーグとは違い、勝敗の重みが増えてくる場面になればなるほど、南米のサッカーは面白くなるのかもしれない。そんな期待を持って、最後まで見ていきます。共感していただけたでしょうか。
では。