さあ待ちに待った時間がやってきたぞ!
なんやかんやモウリーニョ
2014年にマウリシオ・ポチェッティーノが就任してからというもの、トッテナムのファンは年々強くなっていくチームを応援していられた。これは本当に幸運なことで、そしていつまでも続かないことだった。
選手は変わっていないのに急に歯車が噛み合わなくなり、前に進めなくなってしまった。となれば何かを変えないとならなくなる。そうしてポチェッティーノの時代は終わり。引き継いだのは、ジョゼ・モウリーニョだ。
14位にまで落ち込んでいたガタガタのチームを6位に持ち直したのは十分に評価されていい結果だと言える。初めの頃は連戦が続く時期で、戦術練習をする時間はほとんど取れなかった。そうこうするうちに怪我人が増え、さらに台所事情は苦しくなっていった。
幸か不幸か長い中断を期間があり、メンバーが揃い練習の時間が取れたことで、中断明けは色々と改善が見られた。そしてプレシーズンを経て、ここから本格的にモウリーニョのスパーズの進軍が始まる。
まずは目標を決めよう。
リーグ戦は4位を目指すのが妥当なところだと思う。去年の成績はぶっちぎりのリヴァプールとそれを追うシティは他のクラブを大きく引き離していた。終盤に怒涛の追い上げを見せたユナイテッド、世界一レベルの補強を行ったチェルシーは今年、かなり強いはず。
数年前までのスパーズは若く優秀な選手たちが躍動するチームだった。今はその若手も中堅以上の年齢になり、かつて見せていた将来性が本物なのかを試される時にきている。「経験が足りなかった」「それでも数年後が楽しみだ」もうそういった言い訳は通用しない。本気で一つ上を目指す時期になったんだ。
それでもリーグ優勝を本気で狙えるとは言いにくい。去年の優勝は99ポイント。一昨年のシティは98ポイント。スパーズは過去最高で86ポイントしかとったことはない。レスター優勝のあたりはビッグクラブがどこもゴタゴタしていたが、ようやく本領を発揮している。まずは過去の自分たちが目標になる。それを超えられない限り、優勝は近づきもしないというレベルに今のプレミアはある。
その他の大会はヨーロッパリーグ、FAカップ、カラバオカップだ。こちらは打って変わって優勝を目指したい。長丁場で総合力が問われるリーグ戦よりは可能性がある。そして何より、モウリーニョはカップ戦に強い。
特にヨーロッパリーグに至っては前身のUEFAカップ時代も含め、2回の出場で両方優勝しているらしい(違っていたらすみません)正直国内カップよりも可能性がある気がしている。とにかく、カップ戦はタイトルを獲得したい。是が非でも。
鍵を握る選手
戦い方どうこうは、まだ練習時間を与えられた後のモウリーニョのスタイルを見られていないので、シーズンが始まってから見ていこうと思う。今わかることは選手個人のこと。鍵を握るだろうという選手を3人ピックアップしたい。
まずはエリック・ダイアーだ。CBの中では現状最も信頼されているようで、スタメン候補の最有力であることは間違いない。ここ2年ほど微妙なプレーが続いていたが、中断明けにCBに固定されてからは存在感を見せている。なんか顔も怖くなった。
フェルトンゲンが退団し、サンチェスがまだ不安定な中で、ダイアーは軸になってほしい。久々のセンターバックなのでいくつかミスは出るだろうが、空中戦の圧倒的な強さと味方を鼓舞するその姿勢で、後方をしっかり固めてほしい。
続いてマット・ドハーティ。近年のうちの補強で、即年の大活躍という選手はいなかったが、そうなってくれないと困る。左サイドに入るであろうデイビスに攻撃は期待できそうになく、チームとしてもクロスは右サイドからに偏る傾向にある。その精度、もしくはウイングと連携して中に入っていく動きで、右サイドからの質を上げてほしい。去年は攻撃の形は出来ていたのに、最後の質だけが問題だったから。
最後にデレ・アリ。明確にスランプに陥っている。押し込んで攻めるスタイルの時は、狭いスペースでボールを受ける繋ぎ役になりつつ、機を見てペナルティエリアに走りこんで点を取るのがアリのやり方だった。
ラストパスをくれるエリクセンがいなくなり、モウリーニョは両ウイングにアタッカーを置くので、かつてのアリのように積極的にフィニッシュを狙い過ぎると、チャンスメイカーがいなくなってしまう。加えてカウンター志向だと、スピードは並でロングドリブルをするタイプではないアリは輝きにくい。
アリに合わせてチームを編成することはおそらくないので、新たな役割を模索していく必要がある。このままロチェルソとのポジション争いに何も出来ず敗れるのなら、アリは次のクラブを探したほうがいいが、新たな武器を身につけることが出来れば、アリ自身もこのクラブももう一段階強くなれる。
例年よりも開幕が1ヶ月遅れ、今のところは開催される予定のユーロがあるおかげで恐るべき過密日程になっている。すでに発表されている直近の日程には週4の時もあるらしい。どういうつもりなんだ一体。
おかげで見る側は退屈しないが、当事者たちは大変だ。来年こそはCLに帰り咲けるように。念願のタイトルに手が届くように。いざ!開幕!