優勝が目標だと宣言しても良いですか?

プレミアリーグ2022-2023の開幕まであと1週間に迫っている。この期待感を信じてみたい。

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スパーズのサポーターは幸せだよ

「特定のサッカークラブを応援している人はそうでない人に比べて幸福度が低い」

 そんな研究の結果を昔どこかで目にしたことがある。試合に勝った時の喜びよりも、うまくいっていない時のストレスの方が総合して大きな影響を受けてしまうという話だった。

 そんな記事に心から共感したわけではないものの、全く心当たりがないわけじゃない。ポチェッティーノ時代に年々成績が上がっているあの時期こそ最高の気分だったが、少しチームの状態が停滞、衰退し始めると途端にモヤモヤした気分で日常を送ることになっていたから。

 ただサッカークラブを応援している際に感じる幸せは、勝った負けただけではないこともわかってる。少なくともスパーズのサポーターに勝利至上主義の人はいないはずだ。いたとしたら相当強い心をお持ちだろう。悪いことは言わないから、シティファンにでもなった方がいいと思うよ。

 じゃあなにが楽しくて応援しているのか、もちろん答えは一つじゃないけど、きっと多くが共感してくれるのは、チームへの未来が明るく感じられている時、だろう。例えばそうだな、まさに今だ。

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 なんか枕が長くなったが、ここからはさらに長いから覚悟して欲しい。まず今日はフロントの話。日本語にするとなんだろ、経営陣かな?今年の夏のここまでの動きを見ていて、それを賞賛する記事を書かないなんてフェアじゃない。

 ちょっとずれたところから話を始めるけど、例えば普段僕たちが仕事をしている時とかに「君のことを信頼しているよ」とか「この仕事は君に任せる」なんて言う時にこれらの言葉はどういう意味を持っているだろうか。社会人じゃないならバイトでも友達との旅行の幹事でもなんでもいいから想像してみてほしい。

 この言葉を伝えた時に「あなたに任せておけば、仕事が完璧に仕上がってくると思っている。」という意味では使っていないと思う。いや、そうであれば少し思い直した方がいいと思うし、仮に言ってくる上司とかがいるのなら疑ってかかった方がいい。人はどんなに頑張っても失敗することはあるし、その人の責務に寄らない運みたいなものに左右されたりする。

 正しい答えはこうだと思う。

「あなたは真剣に誠実に全力で向き合ってくれると信じているから、仮にうまくいかなくてもそれを受け止めようと思う。」

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 さてサッカーに話を戻す。こうした類の信頼を僕は会長に感じている。ダニエル・レヴィは信頼に足る男だと思う。あんまり多くのインタビューを読んだわけでもないし、レヴィに関する記事も知らないけど、彼は行動で見せてきた。これまでずっとそうだった。

 財布の紐が硬いことから、時にビジネス的すぎるという批判もあるが、身の丈に合わない金遣いをしてクラブが強くなることを好まない人がスパーズサポーターには多いと思う。現地の人はさておき少なくとも日本で応援している人たちは。まあそんな姿勢にヤキモキすることも多かったけどね。

 20年ほど前に会長に就任してから、選手補強で短絡的なチーム強化には決して乗り出さないできた。若い選手を取っては育て、主力は超高額で売却する。そうして少しづつ順位を上げると、次はスタジアムの建設に着手した。歴史あるホワイト・ハート・レーンを取り壊し、新スタジアムを建てる計画だ。当然ながら反対も大きかっただろうが、クラブが次のステップに進むためには集客力のあるスタジアムは必須だった。完成までには長い時間がかかったものの、この一大プロジェクトを遂行した。

 嵩んだ建設費の影響もあり、補強なしのシーズンを送るなどこれまで以上に出費には厳しくなっていったレヴィ。しかし世界最高峰のスタジアムと練習場はクラブの格を確実に挙げた。この頃から、獲得した選手たちが設備に感銘を受けたんだと話してくれていることが増えてきた。そうしたクラブの基盤となるような設備投資にお金をかけたが、これは簡単なようで簡単じゃない。試合結果には直結しないようなことばかりだからね。その期間を繋いだ監督たちには感謝を送りたい。

 そうしてようやく物語は去年に繋がる。夢のCL決勝から難しい時間を過ごすスパーズの監督はヌーノ・サント。11月のマンチェスター・ユナイテッド戦の惨敗を受けて、ダニエル・レヴィは覚悟を決めた。とんでもない年俸とオフシーズンの高額な補強費を要求するものの、立て直しにかけては世界一の実績を持つビッグネーム、アントニオ・コンテの招聘を決断したのだ。

 効果はすぐに現れた。冬の補強の成功もあり、チームは4位に滑り込んでチャンピオンズリーグの出場権を得た。この結果はシーズン前には想像していなかった順位だ。試合内容の向上、コンテの存在、そしてCL権の獲得がこの上なく良いムードをチームにもたらした。そして我らがレヴィの目が光る。自身が会長に就任してから20数年、今が今こそが勝負の時だと見定めてこれまでにない予算を用意した大型補強に動いた。

 執筆時点で新加入は6人、各ポジションに1人ずつを増強する的確な補強に成功した。いかにコンテといえど不満はあるまい。去年は4位に終わったとはいえ、シティにもリヴァプールにも負けなかったのは我々だけだ。1発勝負ならどのチームとも渡り合える力はある。問題は長いシーズンで安定した結果を積み上げるという部分だった。

 今のところ、スタメンが確約されるような補強はない。しかし全員が即戦力で、いつポジションを奪ってもおかしくないようなレベルにある選手たちがやってきた。少なくとも机上では、リーグ屈指の厚みと言っていいはずだ。

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 冷静に考えてみる。優勝したシティの勝点は93だった。4位スパーズは71だ。この差はとても大きい。スパーズがシーズンで11敗を計上した横で、シティは3回しか負けていない。ちなみにリヴァプールは2敗でシーズンを終えた。改めてみるととんでもないレベルですねこれは。

 勝利数で見るとシティは29勝、リヴァプールは28勝、スパーズは22勝だった。負けないことが重要なんじゃなく、勝たないといけない。これはプレシーズンマッチでコンテも言っていた。「どの試合でも勝利にこだわるメンタリティが必要だ」と。

 というわけで、今シーズンの目標をもう少し刻んでもみようと思う。

 出場する大会は4つ。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、FAカップ、カラバオカップだ。このうちリーグ戦以外をカップ戦と括ってここからは話を進める。

 シーズン査定Sを取るのはプレミアリーグの優勝だ。もしこれを達成できるのなら、カップ戦は全て1回戦負けでも構わない。というかカップ戦に関しては、評価点は優勝か、それ以外か、だと思っている。CLですらもう準優勝は経験した。それで満足はもうできない。

 続いて査定Aとなるのはリーグ戦3位以内かついずれかのカップ戦での優勝かな。リーグ戦は難しくてもタイトルは絶対に必要だ。コンテがいて、大型補強をしてなお無冠に終われば、今度こそケインは出て行ってしまうだろう。そしてこの時代はスパーズの全盛期としてただの歴史に成り下がる。

 最後は最低ラインの査定B。これはタイトルはなく、CL権を取ったという今年と同じ結果。これすら達成できなければ失敗のシーズンだし、正直CL権だけでは誰も満足しないことはわかっている。だからこその、最低ラインとする。

 あともう一つだけ基準を忘れていた。勝点86というのは一つのボーダーになる。これまでのスパーズの最高記録だ。優勝を狙うならこれを越えないことには話にならない。16-17シーズンの記録だが、今年のチームはあの時より強いはずだよ。

 ロリス、ソン、ケイン、ダイアーといった中心選手たちは変わらないが、5年程前までは期待のチームに過ぎなかった。リーグで最も若いチームでこれからが楽しみだけど今は若いから安定感がないんだと。彼らがキャリアの最盛を迎える年齢になったこの年に未だかつてない期待感を持って開幕を待つことができているのは本当に幸せだ。シティやリヴァプールの壁が高いことは百も承知の上で、俺らも優勝を目指すとここに宣言しよう。

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