クラブワールドカップが終わりました。大会の優勝候補筆頭だったのはパリ・サンジェルマン。今大会でもバイエルンやレアル・マドリーを倒し、順調に決勝の舞台に上り詰めたものの、しっかりと対策を打ってきたチェルシーになすすべなく敗れました。ライバルクラブの勝利には少し苦い思いもありつつ、これだからサッカーは面白いとも思った。CLではインテルを、準決勝ではレアル・マドリーを圧倒していた今のパリが負ける姿を想像するのは難しかったが、あろうことかチェルシーがやってのけるとは。
パリ・サンジェルマンはCLの王者であり、チェルシーはECLの王者だ。CLとECLの王者が公式に戦う場は設けられていなかったはずなのに、クラブワールドカップのおかげでそれが実現した。この決勝をもって、ヨーロッパの主要リーグは長い長い2024-2025シーズンが終わったことになる。そして2025-2026シーズンの開幕はUEFAスーパーカップをもって幕を開ける。舞台はイタリア、ウディネーゼの本拠地ダチア・アレーナだ。対戦カードは前年のチャンピオンズリーグ王者とヨーロッパリーグの王者、すなわちパリ・サンジェルマンvsトッテナム・ホットスパー。正直言ってCL決勝を見てからCWC決勝までの間、パリの強さに慄く一方でした。ありがとうチェルシーよ、少し希望が湧いてきた。本日はチェルシーに学ぶパリの倒し方です。
カウンターなら任せろ
まず2つほど前置き。1つ目、こんな記事を書こうと思って試合を見ていたわけではないので真面目な分析解説が聞きたい人は戸田さんのYouTubeとか見てください。2つ目はちゃんとした話だけど、やはり決勝はコンディションの差は影響があったと思う。ベンフィカ、パルメイラス、フルミネンセの山よりもマイアミ、バイエルン、マドリーの山の方が負荷がかかる。選手層っていうチェルシーの腹立つ強みもあるからね。大会中に獲得した選手がメンバー登録できるってどうなんでしょうね。
そんな連戦の疲労みたいなものは我々の試合の時にはないから、むしろ休暇明けで準備が整っていないことを願うしかない。ほら、パリみたいなクラブはシーズンの終盤にピークをもっていくチーム作りをするっていうしさ。さっき書き忘れたけど、UEFAスーパーカップは2025年8月13日(水)に行われます。過去12年の中でヨーロッパリーグの王者の方が勝ったのは2018年のアトレティコがレアルを下した試合のみだそうです。こわいこわい。
そろそろ始めます。まずキーパーはヴィカーリオが入る。セービング能力ならロベルト・サンチェスよりも上だと思うし、確実にビッグセーブの一つや二つや三つや四つは必要になるので彼には頑張ってもらわねば。不安要素はリスタートかな。サンチェスは時折よいパントキックを前線に届けていたが、ヴィカーリオにそのイメージはあんまりない。それどころか無駄に急いだリスタートでピンチを生み出すことが少なくない。あれがポステコグルーの指示であり、ヴィカーリオの癖じゃないことを祈るばかり。中途半端に再開を急ぐとハイプレスを嵌められてあっという間に失点します。例の8秒ルールがどうなるかわからないけど、適用されるならフィールドプレイヤーの準備の方がむしろ肝。ちゃんと前に走るんだぞ。
センターバックはロメロとファンデフェン。ここもチャロパーとコルウィルより質は高いはず。真ん中に入るデンベレはフラフラと持ち場を離れるけど、無理について行かずにスペースを消し続けて欲しい。パリの狙いはデンベレに食いついてくるセンターバックの裏に誰かを走らせることだから。
サイドバックはポロとウドギ。ここは特筆すべきことはないかな。1対1でクヴァラツヘリアとドゥエを止めて、攻撃ではゴール前まで出ていって攻守に全部頑張ってくれれば。
特徴があったのは中盤の構成だ。3人を配置してそこにリース・ジェームズがいた。本来サイドバックの選手をボランチに置いたのは、ボランチ2枚とトップ下を全て、守れる選手にしたかったからだと思う。パリのキーマンはアンカーのヴィチーニャであり、ここに自由を与えたくなかった。でもマンマークというわけでもない。ヴィチーニャがセンターバックの位置まで下がってボールを受ける時まで深追いはせずコンパクトさを保つ。センターサークルくらいまできたらそこからは厳しく行き、展開されたら全体が撤退する。特に中央への縦パスを警戒して人を集め、サイドへの展開はやや許容していた。そのために中盤に守備者を並べていたと思うけど、スパーズには守備のスペシャリストタイプはいないので、ベンタンクールとビスマを後ろに並べてトップ下にサールが近いかもしれない。ただしマディソンは守備のプレスの掛け方は上手いのでバランスを攻撃寄りにするならマディソンかもしれない。
次は左ウイング、ここは大いに戦術的だった。ほとんどサイドバックの位置で守備をさせつつ、攻撃に切り替わったら真っ先に前線に走っていたのがネトだ。かつてならソンを選ぶところだが、現時点でこの高負荷な仕事をこなせるエンジンを積んでいるのは、テルの方だと思う。ただしスパーズサポーターが幾度となく見てきたように、カウンター主体の戦術で最も生きるのがソンでもある。なので意図的にパリの攻撃を左(スパーズの右サイド)に偏らせることができれば、ソンの起用もある。
右はカウンターの起点だ。チェルシーではパーマーがこの役割を担い裏を狙ったり中盤のスペースでボールを受けてチャンスを作っていた。クルゼフスキなら同じことが出来るはずだ。もう少し一人で運んでもらうことを考えてのクドゥスも考えられる。どちらにせよ、チャンスメイクはここから。
最前線はソランケでもリシャルリソンでも。もしリシャルリソンが怪我なくやれるなら新監督の元でのエース争いは楽しみなんだけどね。その怪我なくが出来ないわけなので今年もどこまで期待して良いのだろうか。
ダラダラと書いてきましたが、1ヶ月も前の意味のない予想フォーメーションです。
FW テル、ソランケ、クルゼフスキ
MF ベンタンクール、サール、ビスマ
DF ウドギ、ファンデフェン、ロメロ、ポロ
GK ヴィカーリオ
チェルシーの戦いを見ながらさ、スパーズでも出来ないわけがないよなって思っていたのですよ。思いたかったんですよ。1年積み重ねてきたチェルシーと、新監督最初の公式戦になるスパーズが同じようには行かないけど、チェルシーの戦いを見るまではパリに善戦する糸口さえ見えなかったんだし、前向きに挑みたいじゃんか。その攻略がカウンターなら、出来る気がするじゃないですか。
いよいよプレシーズンマッチが明日から始まります。いい準備をして1ヶ月後を迎えたいね。