2021-2022 プレミアリーグ 第3節
Tottenham Hotspur 1 – 0 Watford
Stadium:トッテナム・ホットスパー・スタジアム
通算戦歴:41勝16敗6分(勝率:65%)
得点
42分:ソン・フンミン(Spurs)
トッテナム・ホットスパー
FW ベルフワイン(68’モウラ)、ケイン、ソン(88’ヒル)
MF アリ、スキップ、ホイビュア
DF レギロン、ダイアー、サンチェス、タンガンガ
GK ロリス
sub:ゴッリーニ、ロメロ、ドハーティ、デイビス、ウィンクス、ロチェルソ、セセニョン
ワトフォード
FW キング(65’エルナンデス)
MF デニス、クツカ、エテボ、シソコ(71’クレヴァリー)、サール
DF マシナ、シエラルタ、エコング、キャスカート(51’エンガキア)
GK バッハマン
sub:エリオット、カバセレ、ローズ、ルザ、セマ、フレッチャー
崩すのはやっぱり難しい
前回プレミアリーグで連勝スタートを記録したのは2018-2019シーズンのこと。あの時は3連勝と好スタートを切ったものの、4節でワトフォードに止められた。同じ轍を踏まないよう気をつけて、気持ちよく代表ウィークを迎えたい。
スタートは予想通り、ケインが入ってモウラが外れた。ECLに出た選手たちも良かったらしいが、リーグ連勝中のメンバーはそうそう変えられない。逆にサプライズはワトフォード。移籍決定からわずか2日でムサ・シソコがスタメンに入っている。数日前までのホームスタジアムに敵として違うユニフォームをまとってやってくるのはどういう気持ちだったのだろうか。前半にウォーミングアップを始めたダニー・ローズと後半に交代したシソコにはスパーズサポーターから温かい拍手が送られていた。
立ち上がりはワトフォードが前に出る。サールの突破力は脅威だったが、時間が経つにつれてレギロンが抑え込めるようになっていく。おそらくはサポートをするはずのポジションにシソコが入っていたために、うまく連携を構築できなかったからだと思われる。
基本的には両サイドを軸に攻撃を展開したいワトフォードだが、これで右サイドは潰れた。左はデニスとクツカが時折良さそうなコンビネーションを見せるも単発に終わり、チャンスは多くなかった。
少しずつリズムを取り戻しボールを握れるようになってからはスパーズが押し込む展開になる。なんか新鮮な気分だった。流れからの得点はなかったし、決定機も多くはなかったが、過去2年の拙い遅攻に比べれば希望はあったと思える内容だった。
まず、前線の3枚に動きがあった。基本は左からベルフワイン、ケイン、ソンという並びの中、かなり自由にポジションを変えていた。みんなそれぞれが崩しに関わろうと動くので相手は捕まえにくい。去年との大きな違いはさらに2つある。
1つ目はサイドからの攻撃の際にペナルティエリアの横側やや内側、いわゆるハーフスペースに選手が立っていた。まだ上手く使えてはいなかったが、これまでの酷い攻撃の際にはそこに誰もいないことが多かった。ハーフスペースに人がいることでそれを囮にタンガンガが裏に抜けたり、ワンツーで突破したりしていた。タンガンガはクロスの精度こそ改善の余地があるが、抜け出すまでは良かった。
2つ目は中盤が飛び出していくこと。ビルドアップ時にはアリが前に出てホイビュアが下がってボールを受ける。前に運べたらホイビュアも上がっていって、機を見てはペナルティエリアまで走り込んでいた。こうした前線+1の動きはリスクを抑えるモウリーニョ体制ではほとんどなかったことだ。後ろは上がっていない方のサイドバックとCBの2人、加えてアンカーのスキップの4人で、十分対応できていた。
いろんなチャレンジがあって前向きな内容だったと思う。そりゃ1年以上ポゼッションしないサッカーをしてきたのだからすぐには結果はついてこないよ。それでもプレミア200試合目の節目にいつぶりかわからない直接FKを沈めたソンのゴールで開幕3連勝を飾った。クリーンシートでのこの記録はスパーズ史上初らしい。
格差が広がらないうちに
良くなかった面を探すとすると、選手が変えられないでいることだ。でもこれはサントの判断が遅いという話じゃない。あの展開で選手を変えるのはなかなか難しい。
開幕から結果が出ているので選手が固定になってしまうのは致し方ない。そのおかげでプレー強度を保てると信頼をおけるのはベンチを見るとモウラしかいない。終盤に投入されたブライアン・ヒルも最後までボールタッチはなかった。あれはデビューさせたいが故の交代だったのかな。
これからもミッドウィークはカップ戦で週末はリーグ戦という過密な日程は多くはなる。しかし今の中盤のハードワークを見ると簡単には割って入れそうにない。カップ戦でちょっと活躍しただけではすぐに合格というわけにはいかないから、プレミアでの出場機会が必要だ。
そのためには追加点が絶対にいる。ここまで3試合は1-0で最後まで余裕がない。2点差3点差をつけて試合をコントロールできている状況を作って選手を試していかないといけない。
3試合連続クリーンシートを達成している要因の1つに、前線の切り替えの早さがある。中盤の3枚を中心に相手ボールに渡ってからの寄せが早くなっている。多少強引にでも止めるので後ろはかなり楽になっていると思う。ただその分カードも出てしまっているので割と早い段階で累積による出場停止があるかもしれない。そんな時に信頼のおける中盤がいないなんて自体は避けないとね。
これで昨年の12月ぶりにリーグテーブルの首位に立った。プレミアリーグでは唯一の3連勝かつ無失点というおまけ付きだ。こんな開幕ダッシュを想像しえたサポーターはいなかったんじゃないだろうか。流れの中での得点が少ないとか相変わらずカウンターだけだとかご意見いろいろあるだろうが、去年はあと1歩で失った勝ち点があれだけあったのだから、結果に素直に喜ぼうよ。