[SC]パリ・サンジェルマン vs トッテナム・ホットスパー

2025-2026 UEFAスーパーカップ

Paris Saint-Germain 2 – 2 Tottenham Hotspur 

Stadium:スタディオ・フリウーリ  

得点
39分:ミッキー・ファン・デ・フェン(Spurs)
48分:クリスティアン・ロメロ(Spurs)
85分:イ・ガンイン(Paris)
94分:ゴンサロ・ラモス(Paris)

トッテナム・ホットスパー
FW リシャルリソン(72’ソランケ)、クドゥス(79’テル)
MF スペンス、ベンタンクール、サール(90’ベリヴァル)、パリーニャ(72’グレイ)、ポロ
DF ファンデフェン、ロメロ、ダンソ
GK ヴィカーリオ
sub:キンスキー、オースティン、ヴシュコヴィッチ、デイビス、バイフィールド、オドベール、ジョンソン

パリ・サンジェルマン
FW バルコラ(68’エムバイェ)、デンベレ、クヴァラツヘリア(60’ルイス)
MF ドゥエ(77’ラモス)、ヴィチーニャ、ザイールエメリ(68’イガンイン)
DF メンデス、パチョ、マルキーニョス、ハキニ
GK シュヴァリエ
sub:サフォノフ、マリン、ベラウド、エルナンデス、カマラ

収穫は悔しかったこと

 プレミアリーグの大多数のクラブより、早めにシーズンを始められることが誇らしい。トッテナム・ホットスパーの2025-2026シーズンは、昨年のチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの王者が戦うUEFAスーパーカップをもって幕を開ける。毎年開催されていることは知っていたけど、見たことあるかは自信がない。あまりにも自分には関係がない気がしていたから。相手はパリ・サンジェルマン。CL決勝でインテルを破壊したパフォーマンスは衝撃的だった。正直に言ってあの日から、どうやったら勝負になるのか不安は抱いていた。

 トーマス・フランクのは初陣は、これまでプレシーズンマッチでは見せてこなかった3-5-2だ。たぶん今までの試合では色々な選手を試す時間だったんだろうね。ベースは4バックだと思うけど、相手が強敵と見れば3バックにしてカウンターを狙う。これがブレントフォードで見てきたフランクのやり方だ。パリ相手にどこまでやれるのか。それは想像以上だった。

 キーパーからのビルドアップに対しては、一歩も引かないハイプレス。昨年までのやる気元気プレスとは違う整理されたプレッシングだ。ツートップがセンターバックにプレスをかけ、パリの心臓ヴィチーニャにはサールがマンマークで付く。サイドバックにはウイングバックの2人が出ていき、降りてくる中盤はベンタンクールとパリーニャで狙う。これが多くの場面でハマっていた。ただここからのショートカウンターの連携までは準備しきれていなかったので、取れたのにもったいない場面は散見された。

 それとセットプレーの質は大幅に向上している。ゴールは2つともフリーキックからだ。蹴る場所の狙いもどうやってターゲットをフリーにするかも色々練られている。それはコーナーキックも同じだったし、ダンソのロングスローも十分な脅威だった。流れの中での攻撃は構築するのに時間がかかるかもしれないが、少なくともセットプレーが現時点でこれだけ威力を発揮するなら、リーグ戦が始まっても期待できる。

 今日の戦術のキーマンと言えそうな選手は何人かいたが、まずはサールに触れようかな。立ち位置としてはトップ下なんだけど、役割はチャンスメイクではなくボールハント。前述のヴィチーニャのマークがメインタスクで中央エリアではしつこくついていく。ヴィチーニャがそれを嫌がって動く範囲を広げると、必要以上についていくことはしないが、真ん中を広く動いてボールを奪い続けていた。課題は奪ってからそれをチャンスに繋げるところかな。

 それからリシャルリソンとクドゥスのツートップ。体を張って時間を作るリシャルリソンと、五分五分どころか三分七分くらいで出遅れている場面でもマイボールにしてボールを運んでしまうクドゥスの2人がいるからこそ成り立つ今日の戦術だった。だからこそ、攻守の切り替えの場面で彼らをサポートする動きはもっと求めたいね。これはもう何年も抱えている課題で、カウンターの局面で走り出す選手が足りなくてチャンスに出来ないことが多すぎる。守備をしないFWが批判される現代なんだから、攻撃に走らない後ろの選手にもそれを要求されて良いのにと思う。もちろんシャトルランにはならないように、行く場面と時間を作る場面の意思共有があった上で。

 練習開始が1週間前というパリは終盤に落ちてくるのかと思っていたのに、エネルギーがなくなったのはスパーズの方だった。選手交代を行う毎にプレー強度と質が落ちる。グレイは左右に振られるばかりでボールにプレーすることが出来ず、テルとソランケはボールを失いすぎていた。あと数分凌げればと振り返ることもできるけど、完全に押し込まれる展開になってしまったことを反省したい。前に出ていく意思はどんな時も必要だった。

 テクニックとスピードが武器の欧州王者に、パワーとスタミナで勝負するアイデアは非常に面白かった。良い面も悪い面もあった試合だったし、この経験を活かしていこうとふんわり締める事もできる。ただ大きな声で伝えたいこの試合の大事な収穫がある。それは敗戦が悔しかったということだ。昨シーズンの終わりなんて、負けても特に何も思わなくなっていた。ちゃんと悔しいと思えるこの気持ちを忘れないように1年間を戦おう。そしていつか必ずここに戻ってこよう。

2025-2026シーズン 試合結果一覧

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