2025-2026 プレミアリーグ 第31節
Tottenham Hotspur 0 – 3 Nottingham Forest
Stadium:トッテナム・ホットスパー・スタジアム
通算戦歴:108勝54敗17分(勝率:61%)
得点
45分:イゴール・ジェズス(Forest)
62分:モーガン・ギブス=ホワイト(Forest)
87分:タイウォ・アウォニー(Forest)
トッテナム・ホットスパー
FW ソランケ、リシャルリソン(67’コロムアニ)
MF テル(67’シモンズ)、グレイ(86’ギャラガー)、サール、ポロ
DF ファンデフェン(46’ウドギ)、ロメロ、ダンソ、スペンス(46’ベリヴァル)
GK ヴィカーリオ
sub:キンスキー、ドラグシン、ソウザ、パリーニャ
ノッティンガム・フォレスト
FW ハドソンオドイ(70’イェーツ)、ジェズス(70’アウォニー)、ハッチンソン(80’エンドイェ)
MF アンダーソン(92’ドミンゲス)、ギブスホワイト(92’マカティ)、サンガレ
DF ウィリアムズ、ムリーリョ、ミレンコビッチ、アイナ
GK セルス
sub:オルテガ、モラト、ネッツ、バクワ
これが「本当の」負傷者多発の問題点です
今シーズン最大のビッグマッチのはずだった。残留を争う直接のライバルであるフォレストとの1戦はシックスポインターというよりも、降格に伴う損失予想を受けて、2.5億ポンダーとも言える。「クラブの将来を賭けて」と銘打ちクラブ公式は煽りに煽り、サポーターは試合前から空前の熱量で選手を迎えた。その気合いは前半45分だけしか持続せず、たった1点のセットプレーの失点でチームは狂乱のパニックに陥り、絶望のスコアでいつも通り敗れた。トゥドールはこの試合の重要性は理解した上で、それでも保険としてこの試合の勝敗だけが全てではないと言っていた。それは正しい振る舞いだったと思うが、0-3での負けは想定を超えていたことだろう。ついに残留争いにおけるスパーズ最大のアドバンテージだった得失点差を一気に失ってしまったことは痛すぎる。勝点だけでなく得失点差までもシックスポインターなダメージを負ってしまったのだ。
前半はまだ良かった。リヴァプール戦とアトレティコとのセカンドレグで見せたような熱意はこの試合にも継続されていた。とはいえ一部の選手には強敵と戦う時のようなCLを戦う時のようなモチベーションとは違ったように見える選手もいるにはいた。具体的にはスペンスとリシャルリソン。前の2試合に比べると集中力を欠いていた。が、この試合もそうした選手たちがもたらしそうな悪い空気を打破しようと奮闘するのは、若きグレイとテルだった。テルは今日も惜しいチャンスシーンはあるのに、シュート技術と判断ミスでチャンスを決めきれない場面が目立つ。アトレティコ戦で自ら打たずに折り返していればと思えるシーンもあった。そうした個々の瞬間は反省してもらうとして、現時点でテルをどうして責められようかとも思う。この半年ほとんど起用されていなかった選手が、やっとチャンスをもらっているという構図なのだから自分の結果に執着してしまうのはしょうがないことだし、数字にこだわるFWを過剰に批判して潰すべきではない。誰よりも一生懸命にゴールをこじ開けようとしているテルのシュートミスで降格するのならどこまでも付き合ってやると思えるよ。
あと前半に良いなと思えたのは、サイドからクロスが入る時にサールがペナルティエリアに走り込んでいたことだ。こうしたボランチの攻撃参加が長らくなくて、攻撃の厚みと変化が不足していた。グレイがまずは前線への関わりで道を示し、遅れながらサールも順応してきた。このダブルボランチはかなり良い感じになってきた。ベンチに控えるたくさんのボランチ候補生たちは、この2人の何がチームに良い影響を与えているのはをちゃんと認識してほしい。試合に出てきて自分なりのプレーをしているようでは到底及ばない領域にいるぞ。
大量のコーナーキックを浴びせていたのはスパーズなのに、数少ないコーナーキックでリードされてしまうというのはフットボールではよくあること。そこまで悪くはなかったが、トゥドールはハーフタイムで交代を決断した。そしてこれが完全に裏目に出てしまった。
先に言っておくと、この交代が致命的なミスだったということには同意だが、それは結果論でもあるかな。交代の意図は理解できるものだった。スペンスは本職であるはずの右サイドバックがもはや苦手らしく、ボールを受けてパスを出すことも運ぶことも出来ずにそこで停滞させてしまっていた。加えてポロがボールを持った時に明らかにオーバーラップして欲しそうに時間を作っているのにそこに走らなかったことが印象を悪くしたのだと思う。左のファンデフェンはそこまで悪くはなかったが、スペンスにオーバーラップを求めるように左にも推進力を求めようと思うと、ウドギに期待するのはわかる。問題は変わって入ったウドギとベリヴァルが信じられないくらい酷かったからだ。
まずウドギはシンプルにボールコントロールが下手。トラップからボールが落ち着かないので次のプレーにスムーズに移行できない。右足でのプレーが出来ないので縦を切られると後ろを向くしかなく、そこで右足でバックパスさせられるのは相当に危うかった。ウドギにボールが入ると常にバタバタしており、周りが安心できないでいた。そしてベリヴァル。終盤はらしさも見られて良い時のベリヴァルが見られたが時すでに遅し。問題は後半開始から失点するまでにある。ここから本日のトークテーマなのですが、トゥドールがせっかくチームの中に戦うとはどういうことかを植え付け始めていたのに、離脱していた選手たちにその精神性が芽生えていないのだ。ここ数試合を戦っていた選手が変わってきていることがベリヴァルにはなかった。ピッチに立ってから右サイドを起点にやや内側に立ち、ボールが来なくてもほとんどそこから動かずにボールを求めるジェスチャーだけは一丁前にしていた。もうそうした誰かボールを運んでこいの他責思考から周囲は脱却し始めているのに、ベリヴァルはまだ3ヶ月前の時間のままだった。左はウドギが安定を乱し、右はベリヴァルが動かないのでボールが回せない。あとはとばっちりだけどリシャルリソンも集中力を欠いているので飛ばしたフィードがハマらない。まだ頑張ってくれる選手たちはいるのにあちこちと機能不全を起こしているのでどんどん上手くいかなくなってしまった。
そんな連中を怒鳴りつけてでもチームを立て直してほしいのに、キャプテンも似たような問題を抱えているのがこの崩壊に繋がっている。周囲を動かすのではなく自分が気合いだけで攻撃参加をしては、失敗して歩いて帰ってくる。攻撃するのは良いが奪われたら命懸けで戻ってくるのがポジションを離れる人間の責任だろう。今シーズンあれだけカードでチームに迷惑をかけていても、ギリギリのタックルは変わっていないし、そうしたタックルが交わされた後にタラタラと歩いて戻ってくるのもおかしい。2失点目なんてロメロが集中して体を張っていたら防げた失点じゃないのか。ずっとマークも見ずに歩いていて、失点したら両腕を広げて誰かに文句を言っていた。いやそこを埋めるのはアンタの仕事だろうよ。トゥドールさん、もう時間はないんです。キャプテンだろうがなんだろうが、走らない選手、戦わない選手、ボールから逃げる選手は容赦無く外してくれ。先ほどベリヴァルの件で話したことはロメロにも当てはまる。上手くいかないことを誰かのせいにする思考空間からみんなは抜け出し始めてるんだよ。着いてこれないなら邪魔はしないでくれよ。
ロメロについてはもう一つ。ビルドアップの球出しも今や強みではなくなっている。常に難しい縦パスだけを探すので、ロメロにボールが渡るとそこでペースが落ちる。そのため相手は守備の陣形をゆっくりと整えることが出来て余計に出しどころがなくなる。ロメロが欠場しているうちにボールが運べないチームではなくなっていているのだから、シンプルにボールを動かしてくれればいい。あんなゆっくり時間を止めてからの縦パス一本でチャンスになるのは受け手がメッシだからじゃないかね。ここはアルゼンチン代表じゃないので、縦パスを常にチャンスには出来ないし、タックルに失敗した後に歩いていれば他の人が止めてくれたりはしない。やっとグレイやテルやサールのおかげで、自分のプレーよりもチームのためのプレーという雰囲気が出来上がってきたのに、いまだにロメロが自分のプレーだけをして試合を壊してしまうのはもう許容できない。
まだ降格圏に落ちたわけではないものの、現時点で最も最後の1枠に入ってしまう可能性が高そうな戦いをしているのがスパーズだ。あまりにも酷すぎるし、今のように戦わない選手がいるままではチャンピオンシップにだって勝てる相手がいるかどうか。これは大袈裟に言っているのではなく、今シーズンチャンピオンシップの試合も見ていて思うことです。
結果が出ていないことと、ここから3週間空くこともあってトゥドールが次も指揮しているかはわからないが、トゥドール歴の長い選手たちから大きな意識改革でき始めているのを見るとこのままトゥドールに賭けたい気持ちが今は強い。きっと新監督が来たら、状況を理解するまでわかりやすい実績や特徴をもった選手が優先されるようになって、同じことが繰り返されてしまうから。状況は最悪だけどまだ終わっていない。十分に自分たちだけの戦績で残留できる立場にはある。ラスト7試合。まだ諦めるには早すぎる。