多くはネズミの頭を選ぶ
「”ネズミの頭”か”ライオンの尻尾”か」
半月ほど前にこんな記事を読んだ記憶がある。
要はビッククラブのベンチに座るか、少しレベルを下げたクラブでエースになるかということだ。
普通の会社員なら、働く時間も少なく、チームの結果に大きな責任を負うこともない中で、数億円の収入を得られるならこんなに美味しい仕事はないかもしれない。
しかし、サッカー選手はやはり出場してナンボだ。
中にはお金のためだと本気で思っている選手もいるかもしれないが、多くの選手はプレーしたいし、チームの主力として輝いていたいものだ。
試合に出場していないということは、自分の実力を外のチームにアピールする機会もないため、ステップアップという目標は達成しづらい。
加えて試合感というものが失われ、いざ出てみても本来の力を発揮することは難しくなる。
トッテナムが獲得を狙っているとされるボーンマスのノルウェー代表、ジョシュア・キングはスパーズ加入には消極的で理由はハリー・ケインの存在である。
キングは今シーズン、中堅ボーンマスにおいて16ゴールと印象的な活躍を見せてはいたが、3年連続20ゴール超え、2年連続リーグ得点王がライバルとなればいきなりスタメンを奪えるとはなかなか考えにくいのだろう。
そして、現時点では残留の見込みのフィンセント・ヤンセンもいる。
昨シーズンのオランダリーグ得点王ががソンのように2年目の覚醒を見せれば、新しく入ってくるストライカーはベンチも怪しくなる可能性は十分にあるのだ。
主力に穴がないことが移籍市場での弱点に
今シーズンも最後まで優勝争いを続けながら、あと一歩チェルシーには及ばなかったが、多くの人が完成度の高さはスパーズの方が上だったと賞賛している。
チームの平均年齢の若さ、しばらくメンバーも変わっていない。来シーズンはこのチームがさらに進化していることは、期待するなという方が難しい。
しかし、その出来のよさ、完成度というやつが、外から入ってこようとする選手たちをためらわせる要因になってしまっている。
今のトッテナムに加入して、いきなりスタメンを勝ち取れる可能性があるのは、ウォーカーが抜けた後の右サイドバックくらいしか思い当たらない。それほどに充実している。
もちろんメッシが来れば即レギュラーかもしれないが、現実そのクラスの選手を獲得することはできない。
かといって、最近注目を集める若手選手たちにとっては高いハードルに見えてしまっている。
今夏のテーマは現有戦力の保持と優秀なバックアッパーの獲得だと思うが、それが露骨に見えると今回のキングのようなパターンになり得るので、会長たちにはうまくやってほしいものだ。
ワールドカップイヤーの移籍となれば普段より選手も慎重にならざるをえないのでなおさら。
おわり