2017-2018 プレミアリーグ 第27節
Tottenham Hotspur 1 – 0 Arsenal
Stadium:ウェンブリー・スタジアム
得点
49分:ハリー・ケイン(Spurs)
トッテナム・ホットスパー
ロリス、トリッピアー、D・サンチェス、フェルトンゲン、デイビス、ダイアー、デンベレ、エリクセン、アリ(85’ワニャマ)、ソン(70’ラメラ)、ケイン
sub:フォルム、オーリエ、ローズ、シソコ、モウラ
アーセナル
チェフ、ペジェリン、コシェルニー、ムスタフィ、モンレアル、エルネニー(65’イウォビ)、ウィルシャー、ジャカ(86’ウェルベック)、エジル、オーバメヤン、ムヒタリアン(65’ラカゼット)
sub:オスピナ、チェンバース、コラシナツ、ナイルズ
大注目のノース・ロンドン・ダービーは最後まで緊張感のある展開になりました。
ハリー・ケインのゴールを守ったスパーズの勝利。
これで課題の3連戦を2勝1分の好成績で終えられたことに。
エースの差
静かな前半でした。アーセナルはアウェーの地で真っ向勝負をすることを避け、カウンターを中心に活路を見出す戦術できました。最終ラインにまでプレスをかけることはしません。そのためスパーズは落ち着いてボールを保持することができました。前から来ない分、ボランチ以前にボールが入った時は厳しく潰しに来る。守り方が明確で前半は大きな決定機になるシーンは多くありませんでした。
スパーズは左に大きく張り出したソンを中心に攻撃を仕掛ける。今日もソンは積極的でスピードに定評があるペジェリンを縦に仕掛けて勝てていた。2人に囲まれるくらいでは今は臆することはない調子の良さが伺えます。左に回せない時は中央に流れてきたエリクセンやボランチに2人を絡めてから一気に右サイドのスペースを使っているトリッピアーの上がりを生かす形。左のソンと右のトリッピアーという二つの武器を上手く使って攻めを作っていました。アーセナルがリスクを冒してこないので、スパーズも無理せず全体のバランスは崩さないように攻めていました。
逆にアーセナルはというと、まずは守備意識を高く持ち、オーバメヤンのスピードを生かして仕留めようという作戦。この試合は特に縦へ縦へと攻め急いでいるようでパスを回して崩していくというスタイルは割り切った戦いになっていた。新加入のムヒタリアンとオーバメヤンはパスを出す側と受ける側のイメージは共有できているみたいであとはその精度といった感じ。あとウィルシャーは単調になりがちな攻撃の中に意外性を加えていました。昔から天才と言われ続けていたものの、怪我が多すぎたためにあまりちゃんとプレーを見たことがなかったのですが、ボールを持って何かを起こしそうな雰囲気を一番持っていたのはウィルシャーでした。
後半にアーセナルは前に出る選択をしますが、最初にプレスをかわされたことでややバタついたその瞬間にふっとフリーになったデイビスが落ち着いたピンポイントクロスを供給し、センターバック二人の頭の上からケインがヘディングをたたき込みそれが決勝点になりました。ゴール直後はディフェンスもベンゲルもファールをアピールしていたけど、結局試合後にはベンゲル自信が「あれは真っ当なゴールだった」と珍しく文句を言いませんでした。
スパーズは守備からのカウンターモードに切り替え、アーセナルは選手交代でどんどん前線の選手を投入してきます。まるで11人の選手の攻撃力の合計値が高ければ点を取れるゲームのようにバランス無視の前がかりだった。オーバメヤンをサイドに回したり、イウォビがボランチのあたりにいたりと、およそ練習ではやっていないんだろうなと思える攻め方でした。お互いに何度が決定機を迎え、ラメラが点を取っていればもっと楽な展開だったし、ラカゼットが点を取っていれば違った結果になっていたでしょう。
最後まで緊迫した試合に
後半はお互いにチャンスを作りあっていましたが、結局1-0で試合を終えることになりました。スパーズには多くの追加点のチャンスがあったけど、チェフの好セーブやこちらのシュートミスで得点は奪えず。アリとラメラの決定機は決められるものだった。それがアーセナルに希望を持たせることになり、ロスタイムのラカゼットのシュートにつながりました。決まっていてもおかしくなかった場面で、ロリスの立ち位置も良かったかもしれないけど、おおよそ運が良かったと言ってもいいシーンになってしまったのです。
サッカーでは1-0が一番美しいスコアと言われることもあるように手に汗握る展開は面白いけれど、結果的に勝てていなければ大きな反省材料となっていたことでしょう。全体的にはみんな良いプレーをしていたし、珍しく交代枠を使い切らずに試合を終えたことからも、いじってしまうのは難しいくらい充実した試合でした。
今日は前線からプレスをかける時間もあるにはあったけど、賞賛されていた頃のようなハイプレスの消耗サッカーではありませんでした。いい意味で大人なサッカーができていたのかなと思います。連戦が続く中でいつもいつもこなせるスタイルではないので、うまく相手を見ながら自分たちの強みを出していけるというのは成長の証。終わってみればこの3連戦を無敗で切り抜けたことで、一気に4位以内へのオッズも高まりました。次にはすぐにチャンピオンズリーグが再開します。お互いに好調のチームなので面白い試合になるでしょう。