2022-2023 プレミアリーグ 第9節
Arsenal 3 – 1 Tottenham Hotspur
Stadium:エミレーツ・スタジアム
得点
20分:トーマス・パーティ(Gunners)
31分:ハリー・ケイン(Spurs)
49分:ガブリエル・ジェズス(Gunners)
67分:グラニト・ジャカ(Gunners)
トッテナム・ホットスパー
FW ソン(71’ビスマ)、ケイン、リシャルリソン(71’ドハーティ)
MF ペリシッチ(71’セセニョン)、ベンタンクール、ホイビュア(75’スキップ)、エメルソン
DF ラングレ(71’サンチェス)、ダイアー、ロメロ
GK ロリス
sub:フォースター、スペンス、サール、ヒル
アーセナル
FW マルティネッリ、ジェズス(80’エンケティア)、サカ
MF ジャカ、ウーデゴーア(80’ビエイラ)、パーティ(73’ロコンガ)
DF ジンチェンコ(73’ティアニー)、ガブリエウ、サリバ、ホワイト(89’冨安)
GK ラムズデール
sub:ターナー、ホールディング、ネルソン、マルキーニョス
退場がなければ・・・とも思いにくい
昨シーズン終盤のノース・ロンドン・ダービーはCL圏内を懸けた直接対決だった。これは熱い!ここ数シーズンなかったシチュエーションだ!なんて沸いていたが、早くもそれを超えてきた。首位アーセナルを1ポイント差で追うスパーズ。首位を懸けた攻防戦、なんとこのダービーで首位が入れ替わることになればイングランドトップリーグ史上初めてのことらしい。残念ながらそうはならなかった。
まず注目された先発のチョイス。クルゼフスキ、モウラが欠場となったので、前回よかった3-5-2でのスタートも予想されたが、いつも通りの3-4-3だった。こうなると攻撃的なカードは未だ出場のないブライアン・ヒルのみ。攻撃のカードはないに等しい。
試合の展開は良くも悪くも予想通りで、5-4-1で引いて守ってカウンターが本日のゲームプランだ。後ろで作るブロックは強固で、かなりレベルが高いと言って良いが、ディフェンスラインを下げるとともに気持ちまで消極的になってしまうのはいただけない。低い位置に最終ラインを置いても、ボール奪取を狙う姿勢は持っていないと相手はゆっくりと隙を探す攻撃練習をするだけになってしまう。サカとマルティネッリがサイドで仕掛けてくるのを起点にスパーズの守備は後手にまわり、トーマス・パーティに寄せ切ることができなかった。
あそこまでチーム全体として下がってしまうと、カウンターも難しいと思うんですよね。ゴールキックから始めた時なんかは後ろで拙いボール回しをしながら、引きつけて前線の3枚で擬似カウンターを放つ狙いは良いんだけども。というか全体的にチャンスメイクに一か八か感が強い気がする。相変わらずケインとソンの能力がバチっとハマった時以外に運ぶことすら出来ないままなのは、攻撃のバリエーションが豊富なアーセナルを前に切なく感じる。
そういう意味でもクルゼフスキの存在の大きさがよく分かった試合でもある。アーセナルは両ウイングがボールを持てば、まずはサイドでドリブルの構えを見せるが、スパーズであの仕掛けが出来るのはクルゼフスキだけだ。ペリシッチは多少押し込んでから出ないと勝負しないし、モウラは中盤相手にしかドリブルをしない。ソンとリシャルリソンはよりフィニッシャーに近い。
ああいった仕掛けが出来るだけでも相手は引きつけられるし、前線で時間を作ることもできる。何よりチャンスをつくるという役割をケインに任せずにすむから。クルゼフスキがいれば彼に、いなければケインが下がって10番に徹するのが今のベストなんじゃないかな。今日のメンバーでケインが最前線に張ってもそこにいいボールが出てこないから。
前半はドローならまあ及第点。後半立ち上がりの失点は痛かったがなんの脈絡もないエメルソンの退場が致命的だった。ただでさえ劣勢なのに1人が減った、そしてその直後の3点目が試合を終わらせた。ベンチからの指示がどうだったのかわからないが、フォーメーションを替えないのなら、まずは右ウイングバックにリシャルリソンが入って急場を凌がなければいけないのに、誰もがそのままのプレーを続けたので、ぽっかりとエメルソンのポジションが空いてしまい、そこをマルティネッリに狙われた。あれは防げた失点だったと思うよ。
絶望的な2点差になったことで、コンテが驚きの采配を見せた。まさかの4枚替え、ソンとリシャルリソンがアウト。ああすごいなこの人はと思った。この伝統のダービーを残り20分残して捨てたのだ。可能性の低い勝ち点を狙うよりも、これからの日程に向け温存する方に賭けたのだ。賛否はさておき並の監督にはできない。コンテほどの実績があるからこそなせる技だ。僕はコンテを信じる。
屈辱の敗戦だ。それは間違いない。スパーズのカウンターがハマれば十分に勝機のある試合だったが、試合内容でも負けていたと言わざるを得ない。ただこれはリーグ戦だ。最後に上に立っていればいい。8試合を終えて初の黒星なのだから胸を張れるここまでの成績だ。次は超好調のブライトンであり、悩んでいる暇は全くない。