[PL]第20節 トッテナム・ホットスパー vs アーセナル

2022-2023 プレミアリーグ 第20節

Tottenham Hotspur 0 – 2 Arsenal 

Stadium:トッテナム・ホットスパー・スタジアム
通算戦歴:66勝26敗8分(勝率:66%)  

得点
14分:ウーゴ・ロリス(OG)(Gunners)
36分:マルティン・ウーデゴール(Gunners)

トッテナム・ホットスパー
FW ソン、ケイン、クルゼフスキ(89’ヒル)
MF セセニョン(76’ペリシッチ)、ホイビュア、サール(76’ビスマ)、ドハーティ(71’リシャルリソン)
DF ラングレ(89’デイビス)、ダイアー、ロメロ
GK ロリス
sub:フォースター、サンチェス、エメルソン、スキップ

アーセナル
FW マルティネッリ(79’ティアニー)、エンケティア(93’スミスロウ)、サカ
MF ジャカ、パーティ、ウーデゴール(93’ビエイラ)
DF ジンチェンコ(85’冨安)、ガブリエウ、サリバ、ホワイト
GK ラムズデール
sub:ターナー、ホールディング、スミス、ロコンガ、マルキーニョス

謙虚にならないといけない

 負傷者の数、チームの調子、周りからの評価も何も関係ないのが、特別なノース・ロンドン・ダービーという試合だ。ましてや最大のライバルが首位を独走しようとしているのなら、命を賭けて止めにいくのが自然の摂理。「このチームには時間が必要だ」という常套句はこの3年間どの監督からも聞いてきた。同じことを言っていた隣のクラブになぜこんなに差をつけられてしまったのだろうか。

 今週スパーズに待ち構えているのは、アーセナル、シティというプレミア1、2位を走るクラブとの連戦だ。ここで頼れる面々が返ってきた。クルゼフスキとリシャルリソン、コンテが出来る言い訳が一つ減ったとも言える。時間はまあ、必要なんだろうけど。

 ダービーらしい熱量を感じることが出来たのは数少ない救いかもしれない。個々の選手が見せてくれた戦う姿勢はあった。足りていなかったのはチームとしての完成度。認めざるを得ない、アーセナルは強かった。首位にいるのは納得できる。

 引き過ぎないように戦いたいとは思うものの、相手のパス回しが上手過ぎて全くボールが奪えない。そこそこ寄せてもアーセナルの選手には次の選択肢が常に複数あるので、簡単に飛び込めない間合いを作られてしまう。今のスパーズに必要なのは、まさにウーデゴールのような選手だなあと思う。密集地帯にもスペースを見つけてボールを呼び込み、囲まれても失わない技術がある。うちにはこの仕事をできる選手がいないから、中央から攻め込めず、相手にとって怖くない外回りのパス回ししか出来ないのだ。

 アーセナルは守備への切り替えも早く、失った瞬間からどう奪うかが定まっている。逆にスパーズはその即時プレスを回避できる自信がないので、周りの動き出しが遅い。どうせ運べないと諦めているように見える。どうサポートして抜け出していくかが決まっていない。たまたまボールが足元にある選手が1人でどうにかするまで待っている。もし上手いこと時間を作れたら、初めてその時に周りが動きだすが、そんな再現性のない運びはそうそう上手くいかず、困ってロリスに下げては適当なロングキックで相手にボールを返す繰り返しだった。

 と、ここまで書いて今日はそんなことはどうでも良くなってきた。試合の内容を振り返るよりも考えてしまっていることがある。悔しいが現状を認めなければいけない。アーセナルには学ぶことがたくさんある。

 もうずっと何年もスパーズと立場が逆転するというアーセナルに取っては苦しい時間が続いていたはずだが、簡単にアルテタを切ることはなく若い選手を獲得し我慢しながらチームを作ってきた。スパーズはCL決勝をピークに1つのサイクルが終わったことは明確だったのに、監督交代によるショック療法とケインとソンの決定力だけを頼りに延命治療を続けてきた。その結果が今日の差だ。

 どうしてその道を選んだのかははっきりしている。選手としてのピークを今まさに迎えようとしている史上最高のハリー・ケインをチームに留めておくためには、我慢の時期を作るわけにはいかなかったからだ。痛み止めで体を騙しながらでも、前に進んでいると思っていなければいけなかった。

 でもアーセナルだけではなく、一度傾いたチームを再び上向かせるには我慢が必要だということは他の全てのチームが証明している。グアルディオラもクロップも数年をかけてチームを作ってきた。ユナイテッド、アーセナルは何年も罵声を受け続けてきた。チェルシーは今まさに再構築を始めようとしている。

 僕たちもそうあるべきなのかもしれない。目先の結果に囚われ過ぎず1人の監督に任せてみたい。監督を変えるにせよ、チームとしての方向性はフロントが定めて、選手も監督も一貫した信念で選んでいく必要がある。正直コンテで出来ないのなら、今すぐ優勝争いをすることは出来ないだろう。ケインには申し訳ないけど。

 モウリーニョ、メイソン、サント、コンテと4人の監督と時間を過ごしてきたが、ポチェッティーノ終盤からのスパーズは溺れないように必死にもがいているから沈んでいないだけで、前に進めている気がしない。もう痛みを覚悟して再構築していくしかないと思う。コンテと契約延長するならそれもよし、新しい監督を探すならそれもよし。どちらにせよ腹を括らないといけない。近いうちに結果が出ないことを。フロントだけでなく、僕たちも。

2022-2023シーズン 試合結果一覧

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