[PL]第10節 クリスタル・パレス vs トッテナム・ホットスパー

2023-2024 プレミアリーグ 第10節

Crystal Palace 1 – 2 Tottenham Hotspur

Stadium:セルハースト・パーク  

得点
53分:ジョエル・ウォード(OG)(Spurs)
66分:ソン・フンミン(Spurs)
90+4分:ジョルダン・アイェウ(Eagles)

トッテナム・ホットスパー
FW リシャルリソン(64’ジョンソン)、ソン、クルゼフスキ(89’ヒル)
MF マディソン(89’ベンタンクール)、ビスマ(64’ホイビュア)、サール
DF デイビス(46’エメルソン)、ファンデフェン、ロメロ、ポロ
GK ヴィカーリオ
sub:フォースター、ダイアー、スキップ、ロチェルソ

クリスタル・パレス
FW シュラップ(60’ラックサキ)、エドゥアール(78’マテタ)、アイェウ
MF レルマ(78’フランカ)、ヒューズ(70’アハマダ)、ドゥクレ
DF ミッチェル(70’クライン)、グエイ、アンデルセン、ウォード
GK ジョンストン
sub:マシューズ、ホールディング、リチャーズ、リーデバルド

10節分成長してるなって

 ヨーロッパの大会に参加していない分、日程に余裕があるはずなのに、なぜか中3日のスケジュールを組まれている。フラム戦は9節の最後で月曜の深夜、パレス戦は10節の最初で金曜の深夜、次のチェルシー戦は11節の最後でまた月曜の深夜だ。ちなみに12節も最初のカードらしい。これは土曜のランチタイムだから見やすいけど。まあこれも現地の中継カードに選ばれているからであり、内容も結果も出しているスパーズが少なからず注目されているってことなんだろうから、悪いことばかりではないんだと前向きに受け取ろうか。

 固定され始めたスタメンだが、前節はビスマの出場停止を受けてホイビュアが入り、今節はウドギの負傷によりデイビスが入った。怪我人がいることは全く嬉しくはないが、そうでもしないと先発組と控え組が分かれてしまい、厚みが出ないので、強制的にでもメンバーを変えながら戦うことは大切だと思う。ウドギの不在は大きかったが、パレスはザハが抜けてその後を任されている攻撃の軸、エベレチ・エゼとマイケル・オリーズが共にいない。あっちの方が大変そうだ。

 近年は安定して中位にいるのがパレスのポジション。この位置を保つのは簡単じゃない。順位が下のチームだけでなく、上位のチームを時折喰う存在であるからこその中堅チームだ。ホジソン就任以降連敗がないという今のパレスは非常にまとまっていてやりにくいチームだった。スパーズを格上だとみなしつつ、したたかに勝点を狙ってくるこの感じは、開幕戦のブレントフォード戦以来だった。

 パレスがどこまで狙いを持っていたかは分からないが、今のスパーズの弱点を一つ見つけた。今日のパレスのやり方は最終ラインは極力高く保ちつつ、前線はこっちのCBを睨みながら深追いはせず、全体のコンパクトさは維持するというものだった。

 クルゼフスキとリシャルリソンの両ウイングは体の強さを生かし、ボールをキープして起点になるプレーが得意な反面、縦に仕掛けていく怖さは少ない。ペナルティエリアの横くらいでボールを受けた時はスピードより駆け引き重視のドリブルで仕掛けてはいけるが、ゴールまで遠いと選択肢が横と後ろになってしまうのだ。そのため徹底してハイラインを敷けるチーム相手にはサイドが進めないのでやりにくい。おそらくヴィラとかめっちゃ天敵。

 前半はこうして苦戦したのだが、後半の修正は見事だったと思う。今日はウドギの代役はデイビスだったが、デイビスはリシャルリソンを追い越してどんどん前に出て行こうとする。ここまではウドギと同じだが、ボールを受けてもウドギのように仕掛けたりキープしたりができない。左サイドの停滞を受けてハーフタイムで交代となってしまった。

 エメルソンではやり方を変えてきた。ウイングを追い越す動きを控えめにして、自分は後ろでボールを受けてリシャルリソンを高い位置に残す。攻め急いでボールを失うことが減り安定感が出た。こうした修正は見ていて面白いなと思う。

 ハイプレスを起点に先制点を奪ってからは、新しい引き出しも見られた。パレスは試合を通じて全体を間延びさせるのを嫌がっていて、ピッチの真ん中あたりに最前線の選手を置くようにしていたが、無理して前にいく必要のなくなったスパーズはヴィカーリオと2人のCBでゆったりボールを持って時計の針を進める戦略に切り替えた。もちろん常に攻撃的であることを信条とするポステコグルーが遅延行為で試合を終わらせにかかったわけではない。パレスの組織的な「自分たちのスタイル」での守備を壊すために、相手のFWのプレスを誘おうとしたのだ。相手を引きつけた後のビルドアップの方法こそ違えど、目指すところはデゼルビのブライトンと同じじゃんと試合を見ながら驚いた。こんな戦い方も仕込んでいたなんて知らなかったよ。

 いろんな面白さのあった今日の試合だが、最もテンションが上がったのは90分になろうかというところ、交代の準備をするロドリゴ・ベンタンクールの姿が画面に映った時だった。大怪我を乗り越えて、よくぞ戻ってきてくれた。思えば去年のコンテのチームは試合内容は最低でも結果が出ているのがウリだったのに、その結果すら出なくなったのはベンタンクールの離脱と同時期だった。フル出場できるまでにはまだ少しかかるだろうが、大きな戦力が戻ってきた。

 あとベンタンクールの影に隠れて、ブライアン・ヒルも新体制での初出場を果たした。日程には余裕があるシーズンだが、それでも必ずチームとしての総合力を試される時はくる。前線に負傷者が多い今、ヒルにかかる期待も小さいものではないから頑張ってね。

 また今日もいい試合だった。最後こそヒヤヒヤしたもののこれで4連勝だ。10月は全勝なので今月のプレミア最優秀監督賞はまたポステコグルーかもしれないね。史上初だったりするんだろうなまた。そして次はチェルシー戦、ポチェッティーノとの再会だ。シーズンオフには再就任の噂もあったが、今はもうその影を追いかけてはいない。燃える要素がまた一つ増えたロンドンダービーを楽しみにしていよう。

2023-2024シーズン 試合結果一覧

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