2024-2025 プレミアリーグ 第27節
Tottenham Hotspur 2 – 2 Bournemouth
Stadium:トッテナム・ホットスパー・スタジアム
通算戦歴:97勝40敗13分(勝率:66%)
得点
42分:マーカス・タバーニア(Cherries)
65分:エバニウソン(Cherries)
67分:パペ・マタル・サール(Spurs)
84分:ソン・フンミン(Spurs)
トッテナム・ホットスパー
FW オドベール、ソランケ、ジョンソン(46’ソン)
MF サール、ビスマ(46’ベリヴァル)、ベンタンクール(61’マディソン)
DF スペンス、ダンソ、ロメロ(61’ファンデフェン)、ポロ(87’ウドギ)
GK ヴィカーリオ
sub:キンスキー、グレイ、テル、スカーレット
ボーンマス
FW エバニウソン(71’ワッタラ)
MF セメンヨ(90’シニステラ)、クリスティ(71’スコット)、クライファート、アダムズ、タバーニア(81’ブルックス)
DF ケルケズ、ハイセン、ヒル、クック
GK ケパ
sub:デニス、ソレル、アキンボニ、ジェビソン、シルコットデュベリー
オープンというか大味というか
今月は代表ウィークがあるためスパーズの試合は4試合しかない。ただしそれは前半の2週間で行われるので週2試合の過密日程だ。ターンオーバーが増えているのでクラブとしてもヨーロッパリーグに全力を注ぐというスタンスで良いのかな。頑固極まりないポステコグルーが今シーズン変わったところは怪我に対する管理の姿勢だろう。今日の選手交代のうち、ビスマ以外はあらかじめ決めていた出場時間管理の交代だと思われる。
もういつぶりか忘れてしまったが、ロメロが帰ってきた。帰ってきて18秒で致命的なパスミスをしていたのはこれが試合勘の欠如というやつですか。ヴィカリーオが人間離れした反射神経を持っていなかったらこの試合はここで終わっていた可能性すらある。ナイスセーブ。
ロメロは時間が経つにつれて感覚を取り戻してきたけど、ビスマの方は最後まで怪しかった。ビスマはしばらくベンチにはいるも出番がない状態が続いていてようやくの先発のチャンスだったが、信頼を大きく損ねていることがわかるパフォーマンスだった。ちょっと前にベンタンクールと揃って出た時はベンタンクールがアンカーだったと思うけど今日は逆。2人を併用するならビスマがアンカーの方がやりやすそうだが、あまりにもトラップが乱れるのでボーンマスの狙い目になっていた。後ろ向きでいる状態でパスが来るチームの構造はアンカーだけによらない問題点ではあるものの、あのくらいコントロールが乱れるようでは任せられないよ。
ところでいつも酷評しているジョンソンですが、何があったのか今日はボールタッチに積極的だった。下がってボールを引き取る作業に加わってくれるのでボールが右サイドに集まっていた。起点となってから前に出ていく動きのおかげで得意のスピードを生かせる形でボールを呼びこめていたように思う。続けてくれるといいな。邪推するならば前半で交代とわかっていたが故のペース配分なんだろうけどね。
右は連動したボール回しがあるし、左はオドベールが仕掛けられるのでいつもより攻撃が詰まった感じはなかったものの、冷静に見るとバランスが悪すぎる。特に左はスペンスもオドベールも外側でボールを受けたがり、サールも開いた位置でサポートするので左の内側に人がいなくてドリブルで2、3人抜く以外にチャンスが生まれなくなっている。逆に右はジョンソンが外、ポロが中に入るならベンタンクールは右後ろでのサポートになるべきだと思う。誰かが動いて空けたスペースを味方が埋めていってこその流動性なのに、今は動いたところが空くばかりなのでスパーズの陣形はすかすかに見えた。
注目はボーンマスの1点目。これは不運なカウンターではなく、最近の悪いところが詰まったような必然の失点だった。中央で浮いていたポロにボールが渡ったところまでは最高だったものの、前を向いてポロが運んだ時に前線にはジョンソン、ソランケ、オドベールがいたのに出しどころがなかった。しかしその3人は一定のペースでまっすぐ走っているだけで誰もボールを呼んではいなくて選択肢がない。この場面だけじゃなく相手陣内でボールを前向きに持っても、最後の局面をどう攻略するのかという決め事がないので迷子になってしまうことが多かった。
オドベールは貰いにくかったと思うが、ソランケは斜めに走って裏でもらうかオドベールのコースを空けるかをして欲しかったし、ジョンソンも斜めに走るか開いてケルケズから離れるかするべきなのに、ボールが欲しくないからケルケズから離れない位置を取っていた。狙いは左か真ん中でワンクッション置いて自分はフィニッシュに関わりたかったのだろうが、あの場面はジョンソンがクロスに回るのが良かったかな。ポロがもう少し運んでも良かったけど。あとはサイドバックの攻撃参加を推奨しているのに、ポロが上がった右サイドの後ろを誰もカバーしていなかったのもまずい。そりゃあカウンターを喰らうよ。クロスも飛び込みを見事だったとはいえ守備のリスク管理が甘すぎる。
選手が戻ってきて休みも取れているから元気そうなのは何より。ポステコグルーらしい打ち合い上等なスタイルに回帰できているのは喜ばしい反面、オープンなだけでチャンスの数はそこまででもないので総合するとハイリスクミドルリターンな戦い方になってしまっている。
全体をコンパクトに保つことで相手の自由を奪い味方も連動しやすくするのがハイライン戦術の肝のはずだが、立ち位置が開きすぎているので攻撃は個人技任せで守備には長距離のスプリントでは疲労の割に得るものがなさすぎる。試合の終盤に向けて見るからに疲れてエネルギーが感じられなくなっていたのに、試合終了後のデータでは走行距離は100kmを切っていてあの疲れ方は非効率と言わざるを得ないよ。
好調ボーンマスに勝点1を取れたのは好材料として次の試合に目を向けましょうか。初戦に敗れたアドバンテージがあってもホームでAZに勝てないようでは流石にポステコグルーの立場も厳しいものになると思われる。負傷者が戻ってくれば状況は変わると待っていたら、元気一杯になったことで走り回って間延びしまくっていては安定はしなそうだが爆発する試合がここでくれば良いのでね。