2025-2026 プレミアリーグ 第13節
Tottenham Hotspur 1 – 2 Fulham
Stadium:トッテナム・ホットスパー・スタジアム
通算戦歴:104勝47敗15分(勝率:64%)
得点
4分:ケニー・テテ(Cottagers)
6分:ハリー・ウィルソン(Cottagers)
59分:モハメド・クドゥス(Spurs)
トッテナム・ホットスパー
FW コロムアニ、リシャルリソン(60’オドベール)
MF ベリヴァル(77’サール)、グレイ(60’シモンズ)、パリーニャ(60’ベンタンクール)、クドゥス
DF ウドギ(85’テル)、ファンデフェン、ダンソ、ポロ
GK ヴィカーリオ
sub:キンスキー、デイビス、スペンス、ジョンソン
フラム
FW チュクエゼ(80’ケビン)、ヒメネス、ウィルソン(68’ルキッチ)
MF イウォビ(87’カスターニュ)、キング(68’スミスロウ)、ベルゲ
DF セセニョン、バッシー、アンデルセン、テテ
GK レノ
sub:ルコント、ケアニー、クエンカ、トラオレ、クシアサレ
プレミアリーグの方が難しい
11月は6試合でわずか1勝のみ。プレミアリーグ4試合で得た勝ち点は1だけ。チャンピオンズリーグ2試合で7得点挙げた反面、プレミアリーグ4試合では3得点だ。試合内容も良いとは言えないため、全て試合を見た上で今月の結果は妥当だと思える。勝敗には一喜一憂するものだけど、あまりにもチームとしてのプレーができていないので惜しかったなという感想ですらないのよ。
パリ戦でそれなりに良かった4-2-2-2を深めていきたいようだ。サールの位置をクドゥスに変えたのでバランスは右肩上がりになるが、システムに選手を当てはめるのではなく選手の特徴を活かそうとしてくれるのはフランクらしいところか。それと良い動きをしていたグレイが先発に入ったのも嬉しい。今のスパーズの良いところ見つけるとすれば、かつてのソンとケインのような絶対的な存在がいないことだ。特にポチェッティーノの全盛期はソン、ケイン、エリクセン、アリの4人が強烈すぎて、誰がベンチから出てきても戦力差が出過ぎていた。今はそれに比べると、どうしても試合に出す気になれないような選手はいなくて良いプレーを見せればすぐに序列が入れ替わる。悪いところは誰が出ても試合に勝てていないことなんですけどね。
今日こそはホームでの白星が見たいんだと、試合前のサポーターは大合唱でチームを迎えた。しかしその期待は開始5分で裏切られることになる。ゆるゆるの守備でいつも通りミドルシュートを決められ、ヴィカーリオのミスで相当なハンデを負って試合が始まったのだ。ところでヴィカーリオはどう見ても自分が悪い失点をしたのに味方に怒れるんでしょう。ボールを受けたがらないフィールドプレイヤーの他責思考を問題だと思っていたのにキーパーまでそうなんかい。
しかしそんなことはどうでもいい。早々に失点をしたことを糾弾している場合じゃない。我々が改善しなければならないことの優先事項は今やバイタルエリアからミドルシュートを打たれすぎていることじゃない。2点のビハインドからおよそ1時間半の間、無理に攻める必要がなくなり気持ちが引けていくフラムを相手にしても、ほとんどチャンスを作れていないことだ。そして先立って「選手のレベルが低いから」論には反論しておきたい。ジョアン・パリーニャは2年前には今と対してメンバーの変わっていないフラムの中で突出していた選手だったし、ライアン・セセニョンはスパーズでは戦力外だった選手だ。今日の試合を見てもこの選手なら今のスパーズに来たら絶対的なスタメンになれるなと思える選手はフラムにいなかった。でも僕たちは負けたのだ。
何がどう悪かったからだと単純化して言うのは難しい。特に近場へのパスがズレることとかトラップミスでボールを失うとかそこら辺はよりわからない。このレベルの選手たちは普通にやっていればその程度の技術ミスをしないくらいの選手たちだとは思う。よっぽどボールを持っている時にプレッシャーを感じていて、針の穴を通すくらいのパスコースしかないと感じているのだと思う。みんな力が入っていて余裕がない。1人2人ならわかるがあれだけミスが続くのなら個人の問題とは言えないよ。それと裏を狙って走っているわけでもない時にオフサイドにかかっていたクドゥスとウドギには少しイライラした。これは個人の集中力かも。
今日は最近の試合の中では中盤に動きの量が見られた。クドゥスは右に張りがちだけど、ベリヴァルはだいぶ自由だし、グレイも期待していた通りどんどん前に飛び出してくれる。前半は記憶が曖昧なんだけど、後半の最初から1点返すまでの時間帯は少しずつグレイがボールを受けるようになって良いリズムを生んでいた。そしてそんな展開の中で、よく聞く言説を自分の中でもそうかもしれないと感じ始めたことがある。パリーニャにボールが渡ると流れが滞るのだ。
サールやベンタンクールとコンビを組むと、彼らは低い位置で無難なボール回しをするから個人的にはそこまで気になっていなかったのだけど、ベリヴァルやグレイといった前向きにボールを持つ選手と並べるとパリーニャが目立ってしまう。ボールを受けること自体をそこまで嫌がる選手ではないものの、そこからの展開がない。攻撃のスイッチ入れる縦パスも時間を作るボール運びも出来ず基本的には横か後ろに短いパスを預けるだけだ。これはパリーニャがダメな選手だと言う話ではないとは言い添えておきたい。ボールを奪う能力や球際で見せる情熱はチーム随一だと思っているから。おそらくパリーニャはパリーニャに頼らずともビルドアップが出来るような組織の整ったチームの中に置くフィルター役として輝く選手なんだと思う。フラムは個が強烈なチームではないが、マルコシウバの下でまとまったチームだ。バイエルンで重用されなかったのは国内では強すぎてパリーニャほど守備特化の人材がいなくても勝てるからだと思っている。守備から入るべき試合の時は頼りになるが、そうでない試合でパリーニャが生きるようになるにはもう少しチームが出来上がってからかもしれない。
グレイとベリヴァルが走り回っているのに、ボールが前に進んでいかない。ツートップが二人揃って前線に残っていてクドゥスも右の高い位置にいることが多いので結局ロングボールを蹴ることになってしまうのはもったいない。このタイミングでツートップのどちらかが降りてきて一度受けてくれればいいのにって思う瞬間がたくさんあった。じゃあシモンズをトップ下に置けばいいじゃんというのもなんか違うのがもどかしい。シモンズがいると今度は最後の局面でゴール前にいる選手少なくなってしまうので、ツートップがビルドアップを助ける時だけ少し下がってボールを捌いてまたゴール前にいてくれる方が今は良さそうなのです。
モヤモヤもある試合だったけど得るもののない試合だったとも思っていない。中央からの攻撃が皆無だったことの改善策としてツートップにして中盤の組み合わせにセンタープレイヤーを置く方針は少しずつチームを変えていく途中のやり方としては良いと思う。あとは少しの成功体験さえあれば選手たちはもっと自信を持って自由に動けるようになる。終盤に4-2-3-1に戻してからの方が選手の間隔が開いてしまい勢いがなくなってしまった。12月は6試合、うち5試合あるプレミアリーグは今まで以上に厄介な相手が続く。何か光るものを掴んで2026年を迎えたい。