2024-2025 カラバオカップ 準決勝 2ndレグ
Liverpool 4 – 0 Tottenham Hotspur
Stadium:アンフィールド
得点
34分:コーディ・ガクポ(Reds)
51分:モハメド・サラー(Reds)
75分:ドミニク・ソボスライ(Reds)
80分:フィルヒル・ファン・ダイク(Reds)
トッテナム・ホットスパー
FW ソン、リシャルリソン(46’テル)、クルゼフスキ
MF ビスマ(57’ポロ)、サール(57’ベリヴァル)、ベンタンクール
DF スペンス、デイビス(82’ムーア)、ダンソ、グレイ
GK キンスキー
sub:オースティン、レギロン、カサノバ、オルセシ、アジャイ
リヴァプール
FW カクポ(81’ディアス)、ヌニェス(72’ジョタ)、サラー(81’エリオット)
MF ソボスライ、グラフェンベルフ、ジョーンズ(72’マクアリスタ)
DF ロバートソン、ファンダイク(87’クアンサ)、コナテ、ブラッドリー
GK ケレハー
sub:ヤロシュ、ツィミカス、遠藤、キエーザ
いつもの負け方
リーグ戦ではもはや何を目指せば良いかわからなくなっているスパーズの今季の目指すところはカップ戦のタイトルということになる。カラバオカップはあと2勝というところまできた。準決勝はファーストレグで勝っているので、今日は負けさえしなければ勝ち上がれる。金曜日の早朝とはいえ1日を犠牲にする覚悟で早起きをしたサポーターも多かったでしょうね。みなさんお疲れ様でした。得たものは何もありません。
最初から最後までほぼ何も出来なかった上に、どう戦おうとしていたのかさえ正直言って見えてこなかった。先発を見ると中盤には攻撃意識の高いベリヴァルやクルセフスキではなく後方でバランスを取るタイプを並べ、右サイドバックでどうしても今まで外すことが出来なかったポロがここにきてベンチスタートだ。つまり選手配置からすでに消極的だった。ポステコグルーらしくない。
潔く一点を守りつつ、カウンターで脅かす作戦で行くのかとはじめは思って見ていた。カップ戦の準決勝というシチュエーションかつ、今の戦力状況を鑑みてそういう判断をするのは別に悪いことじゃない。でもそれも違った。ボールを奪っても動き出す選手はおらず、カウンターを狙っているとは到底思えなかった。戦う意思が感じられたのはリシャルリソンとスペンスぐらいなもので、あとはどうせ勝てないだろうという顔をしている選手ばかり。新加入の2人は含みません彼らについては後ほど。
そういえばリシャルリソンがまた怪我をした。流石にもう、厳しいかな。出ればそれなりに数字も残すし、いつ見ても闘志溢れるプレーをするから好きではあるんだけど、数試合出れば数ヶ月離脱するのをここまで繰り返されると来シーズン以降は戦力として数えるわけにはいかないよ。例のごとくポステコグルーが選手を壊した論が出てくるとは思うんだけど、残念ながらリシャルリソンは対象外だよ。スパーズに来てからずーっとこの調子だから。
先日「トッテナムはなぜ怪我人が多いのか」という記事を書きました。当社比でだいぶ読まれたようでありがとうございます。そこで話した内容がまさに今日も当てはまるかなと思う。スパーズじゃなくて、リヴァプールに注目してほしい。
今日のリヴァプールを見て、プレー強度や運動量の少ない省エネチームには到底見えなかったと思う。ゴールキックにはハイプレス、奪われても即時プレス、カウンターと見るや何人も選手が自陣を飛び出していく迫力。しかしそんなリヴァプールはチームの走行距離ではリーグでも下の方だという。なぜそうなっているかというと、これこそ『戦術を完遂できているから』だと思う。プレスに行けば狙い通りに奪える。ボールを持てば複数のパスの選択肢がある状況を常に作れている。スパーズとやりたいサッカーの大枠は近いものだと思うのに完成されるとここまで少ない労力でそれを実現できるのだ。
スパーズのプレスには連動性がなく、前は行くのに後ろがついてこない現象が起こり、カウンターのはずの局面で上がっていく選手がいなくてすぐにボールを失う。全てが積み重なっての今日の無気力試合だと思う。連戦の疲労で動けなかったというだけでなく、走るべきところで走らないから、相手にボールを奪われてまた守備に走ることになって疲れているのだ。マイボールになってからボールを失わないように努力していたのはリシャルリソンだけだった。あとは無責任にボールを手放すかボールが来ないように相手の陰に隠れていた。
残念ながらチームの原則としてどうサポートに行きましょうとか、カウンターを放つときは人数をかけましょうとか、いつどんなタイミングでハイプレスを発動しようとか、そうしたものが崩壊しているので選手起用とか配置とかそういう問題ではもはやなくなっている。グレイとスペンスのポジション変更がどうだとか、ソンとテルの位置を変えたほうがいいとかそういう次元にはない。ただし前にも言ったけど、ポステコグルーが来るずっと前からこの問題はあったわけで監督交代でどうにかなるとは思えないのです。あまりにも根深いので一朝一夕での解決策は浮かばないですが、本質は監督交代や選手補強にはないと思う。
さて最後に新戦力に触れておこう。奇しくも冬の獲得組は全員がリヴァプール戦でのデビューになったね。まずはダンソ、加入したクラブで本職のセンターバックが自分しかいないというのは驚きだったでしょう。ちなみにDAZNの実況はダンゾ呼びだったけど、どっちが本来の発音に近いのだろう。ここでの表記はU-NEXTも聞いて決めます。とりあえずはダンソで。
デビュー戦が4失点なのはDFとしては複雑だろうがプレーに気になるところは特になかった。ボールを持ったら味方がみんな離れていってしまい、誰も貰いたがらないことに最初は戸惑っただろうけど、しばらくすると慣れて右サイドの上手にパスをつけていた。一度だけ見せた果敢な攻め上がりは痺れたね。立ち上がりの劣勢はダンソは勇気を出すまで少しも改善しなかったのだから既存のメンバーはそれを恥じたほうがいい。
次にテル、緊急出場だったけど、きっと後半のどこかで出ることは決まっていただろうからそれが早まっただけのことだ。そもそもボールは最前線までいかず、来ても誰もサポートにこないことにこちらも戸惑ったことでしょう。ウェルカム・トゥ・スパーズ。
ボールに触れようと動き回ってくれたことはよかったものの、トラップが落ち着かないので効果的なプレーは特にできず、インパクトは残せなかった。でもテルも気が付いたと思うけど、怪我をしなければアタッカーは即日エースと呼ばれるようなチームなので落ち込むことは何もない。
プレー面では目立てなかったが、プレスに行く時に後ろの選手に出てこいとジェスチャーをしていたのは好印象だ。新チームに加わって数日で全員の名前を覚えているのかも怪しい19歳が観客を煽り味方に指示を出しているのはさすがFWのメンタリティだし、バイエルンにいただけのことはある。そして反面、今の選手たちが大人しすぎることも問題点の一つだなと痛感した。これだけ上手くいっていなくてもピッチ上で仲間に要求している選手は誰もない。全員戻ってきたとしてもマディソンくらいしか思いつかない。だからプレスのタイミングがいつまでもバラバラなままだし、どこでどうパスを貰うべきなのか意思疎通が出来ていないんじゃないだろうか。もっと言い合った方がいい。チームを勝たせるために喧嘩をしろよ。だから少しでも劣勢になると跳ね返せず戦えないチームになるんじゃないのかよ。
悲しい敗戦だった。一番悲しいのは、積極性が足りなかったというような反省をする無力な負け方を何度も見ているので、この負け方は想定内だったということだ。想定しうる中で良くないほうの負け方だったと思っちゃうから、ショックが軽減されてしまうことが辛い。しかし選手たちは切り替えないといけない。2日後にはFAカップが待っていて、8日空いて準備万端のヴィラのホームに向かうのだから。アウェの熱量に押されて自分たちのプレーが出来なくなるといういつもの反省をここでもしないようにしてくれよな。