ワールドカップでも3試合2ゴールと個人としてはしっかりと結果を残しました。
さあ、新シーズンへというところですが、ソンには一つ問題点があるのです。
韓国の法律で定められる兵役制度
韓国には「兵役法」という法律があります。韓国はいわゆる徴兵制を敷いている国で、現行の法律では「すべての成人男性は最短21ヶ月の兵役義務を負う」というもの。19歳〜29歳の間に兵役を終えないといけないので、27歳までに兵役に入ることになります。ソン・フンミンは1992年7月8日生まれの26歳です。法律にのっとり来シーズンいっぱいをもって軍隊に向かわなければなりません。
100%全員が徴兵というわけではないらしく、体調検査で問題があると判定された人や、スポーツの国際大会で著しい結果を残した人などは免除されるようになっています。有名なのはオリンピックでメダルを獲得すること、ですが次回大会は2020年なのでこれには間に合いません。ワールドカップでも予選敗退してしまったのでダメでした。残された最後のチャンスはオリンピック世代を対象に行われる、2018年アジア競技大会です。
アジア競技大会とはオリンピックと2年ずらしの4年周期で行なわれている各種スポーツのアジア大会で主催はアジアオリンピック評議会という団体です。オリンピックのアジア版とも呼ばれているらしく、サッカーはU-23とオーバーエイジで構成されたチームが出場資格を持ちます。ちなみにこの大会に22歳で出場した選手はオリンピック本大会時点では23歳の規定を超えてしまうので、日本代表はU-21で臨み、チームの強化に充てるというのが慣例となっています。
さて兵役の話に戻ると、韓国では兵役免除の条件として「アジア大会での金メダル」というものがあり、アジア競技大会でも優勝したメンバーには兵役免除が与えられます。ソンはご存知26歳ですが、この度U-23韓国代表に選出されることになりました。大会は8月14日から9月1日まで。8/11日開幕予定にのプレミアリーグには間に合わず、決勝まで行った場合は合流するのは9月中旬となりそうです。ただこの大会はFIFAの公式大会ではないため、各クラブに召集拒否権があります。来季後にはほぼ確実に兵役なのでここでチャンスを与えるのかトッテナムの決断には注目です。
契約延長は決まったらしい
兵役の話は前からありましたが、その中でもトッテナムとの契約を2023年6月30日まで延長するという発表がありました。仮に韓国が姿勢を変えることなく兵役となると、2019-2021間はいなくなることになる上、サッカー選手でなくなる2年間のブランクは選手として最盛期を迎える選手としては相当に痛い、同じクオリティで戻ってこられるとは限らないのだ。それでもこのタイミングで契約延長をしたのはこれまでのソンの活躍への敬意と信頼でしょう。
同時にエリク・ラメラも契約延長となったことにも触れておきます。ラメラの方は2022年の6月30日まで。ちょっとワールドカップ期間は結果を知っちゃわないようにニュースを遮断していたこともあって、世の中の動向にもサッカーの情報にも疎くなってしまいまして、トッテナムのニュースもまるでわかりません。どうやら補強も放出もなかったみたいですが、ラメラは放出候補、というか出て行きたがるのかなとも思っていたので早めの契約延長はサプライズでした。
途中出場では出ているけど、スタメンには遠く及ばず、2年目のモウラやこれからの新加入選手によってはさらに出場機会を減らす可能性も大きい。ラメラはもうこの夏で丸5年になるしね。適応とかではないはずだから。それでも残る決意をしたのはラメラの覚悟。平等な目で見るから頑張れよ。
そんなわけで今回はソンの兵役問題についてでした。
もちろん応援はするけど、オーバーエイジでソンが出ても優勝するのは簡単じゃない。もしできなかった場合、ルール上は兵役ですが、気になるのは韓国が容赦なくアジアの希望の星まで徴兵するのかということ。ものすごくもったいないですよね。ふらっと戻ってこられるようなキャリアじゃないので。
今、アジア圏の選手の中では実力も実績も飛び抜けているソンのサッカー人生は来月の大会で大きく変わろうとしている。