2026-2027 プレミアリーグ 第8節
Chelsea 0 – 2 Tottenham Hotspur
Stadium:スタンフォード・ブリッジ
得点
77分:マイク・ペンデルス(OG)(Spurs)
87分:マティス・テル(Spurs)
トッテナム・ホットスパー
FW テル(89’デイビス)、マルムシュ(65’ソランケ)、クドゥス(89’クルゼフスキ)
MF マディソン(51’ギャラガー)、フェルナンデス、トナーリ
DF ロバートソン(65’ポロ)、ファンデフェン、ファンヘッケ、グレイ
GK キンスキー
sub:ドゥブラフカ、セネシ、オルセシ、ウィリアムズバーネット
チェルシー
FW ロジャース、ケンダ(73’エステバン)、パーマー
MF ハト(65’パレストラ)、ヘンダーソン、カイセド、ネト(90’ウェルベック)
DF コルウィル、ラクロワ、アチャンポン
GK ペンデルス
sub:シャーマンロー、フォファナ、ギュスト、バルコ、ニコルジャズリ、ラビア
鬼門、破壊
散々苦労して手に入れた初勝利を勢いに変えたいところで、いつだってそうした流れを崩してくるのはチェルシーだった。なんて都合の悪い対戦順だろうか。スパーズにとって最も苦手な対戦相手は誰なのかと考えると答えはすぐに2択にまで絞られる。スタンフォード・ブリッジでのチェルシーか、アンフィールドのリヴァプールか。個人的な感覚値ではアンフィールドな気がするのだが、試合前に紹介されていたように、過去36年間でスタンフォード・ブリッジで勝ったのはなんと1度だけだそうだ。
コベントリー戦のやり方を軸にしていく可能性もあった中で、デゼルビは冷静にプランを立てた。中央偏重の3-4-3を今回は採用せず、4-3-3に戻してきた。大きな変化といえばアンカーがトナーリから変わったところ。マテウス・フェルナンデスが、ついに本職ポジションでの先発だ。デゼルビが前節に得たものはフォーメーションの成果ではなく、選手は得意とするポジションにおいてあげたほうがよいという学びなのかもしれない。ちなみに勝手にしていた予想ではこういう相手にこそギャラガーでいくのかと思っていたが、マディソンが準備できていたことで机上の理想とも言える3人が並んだ。後で触れない気がするので今のうちにコメントしておくと、最近の途中から出てくるギャラガーの動きめちゃくちゃ良くないですか。マディソンの代わりに入ったからマディソンするのではなく、自分の得意技を200%で発揮している感がある。ボールを持った時の期待感は薄い代わりに運動量とエネルギーがキツい時間のチームの糧になっている。交代で出す意味がある選手だと思う。
この難しいスタジアムでまさかの圧倒的なパフォーマンスだった。ボールポゼッションは7割がスパーズ。特に中盤の3人が凄すぎる。おそらく初めての組み合わせだったはずだが、そうは思えないほどの短い距離で相手のいなすワンタッチパスの連続性と質の高さ。デゼルビの真骨頂である、縦に刺して近場にワンタッチで落として味方に前を向かせるビルドアップがこれでもかと炸裂していた。カイセドだけは流石に厄介で、半径数メートルのカイセドゾーンに侵入したボールを奪いまくってはいたものの、こっちの3人も上手くポジションを入れ替えながら最終的には上回っていた。特に今までとの違いを如実に感じるのはアンカーに入ったマテウス・フェルナンデス。とにかく上手で良く周りも見えている。時々怪しいボールタッチはあったけどそれでも全体的に高水準。やっぱり出して受けて前に進めるというのは違いを生むよなと改めて思う。そういえば話の流れには関係ないことを思い出したので今言うんだけどさ、チェルシーってブライトンと同じぐらい、いつ見ても知らない若手いますよね。だからチェルシー相手に質で上回れるなんてって書こうと思ったんだけど、今日のチェルシーがベストメンバーからどのくらい離れているのか全然わからなかった。チェルシーのサポーターって選手への愛着湧くんかな。まあいいか。
中盤の質の高さはこの試合を左右したポイントではあったが、同時に伸び代も見えていた。中盤の3人が下り目でパスを繋ぎ、時にマルムシュも降りてきては連携に加わることで状況を打開していた、本来デゼルビがやりたいのは中盤の縦パスからの落としで相手のプレスを抜け出したところから、一気にスピードを上げてゴールまで迫る擬似カウンターだったはず。しかし今日のところはビルドアップに人数がかかりすぎていて、抜け出した先に人がいなくて強襲とまではいかなかった。ワントップが関わりつつウイングが斜め中央に走り込むようなスタイルだったような記憶があるが、そうしたランニングは全くなかったので、まだ仕込めていないのか今回は違うやり方を模索しているのか。いずれにせよ。ポゼッションした先の最後の仕上げの部分はまだこれからのようだった。でもこうして日々レベルアップしているのはひしひしと感じるので全然待てます。ゆっくり確実にやってください。
ここからは個人をピックアップ。まずはキンスキーを。一部の自作自演もありつつ、重要なセーブを連発してくれた。実はこれまで、足元の上手さはわかるんだけど、シュートを止めてくれるイメージがなさすぎるなって思っていました。今日はそんな汚名を返上し、安定感のあるパフォーマンスだった。次にクドゥス。後ろが困った時にとりあえず放り投げると、ほぼほぼマイボールにしてくれるイカついポストプレーが戻ってきた。中盤やディフェンスラインの逃げどころとして、地味に戦術のキーマンになっている。クルゼフスキも体は強いが、ここまで理不尽に収めてくれる選手は他にいない。あまりここに依存せずに戦えますように。
みんな良かったと言っておきつつ、最後にテルに触れないわけにはいかない。昨季の攻撃陣が壊滅していた時期は、誰も運べない仕掛けられない中で孤軍奮闘してくれていたテルの積極性は一縷の希望だったわけだが、今季のある程度ボールを持って前に進めるようになったフェーズにおいて、何がなんでもドリブル突破マシーンになっているテルの個性はチャンスを潰す要因となってしまい、出場機会を減らしていた。いつかの試合なんて途中から入ったくせに試合終了と共に公開説教を受けていたくらいだ。しかしそれは愛のある指導だったようで、今日のテルは別人のようだった。自陣ではリスクのないプレー選択に徹し、仕掛ける時と仕掛けない時の判断を頑張っていた。もちろんまだまだそうじゃない場面はあったが、変わろうとする努力が見てとれたことを評価したい。上がってきたロバートソンにシンプルにパスを出すだけで感動しちゃったよ。それでいて一番疲れる時間帯に50mの独走ゴール。とてもいいきっかけになりそうなゲームだったんじゃなかろうか。手応えと充実感がきっとある。
よもやよもやの連勝で、チームのムードは一変した。我慢の時間はひとまず終わり、暴れる時がきた。やれるという自信があればどれだけでも強くなれるはず。次の試合からは不安に思いながらキックオフを待つ気持ちを久々に忘れられそうだ。ま、つまづく時もあるだろうけどね。