2024-2025 カラバオカップ 3回戦
Coventry City 1 – 2 Tottenham Hotspur
Stadium:コヴェントリー・ビルディング・ソサエティ・アリーナ
得点
63分:ブランドン・トーマス=アサンテ(Coventry)
88分:ジェド・スペンス(Spurs)
90+2分:ブレナン・ジョンソン(Spurs)
トッテナム・ホットスパー
FW ヴェルナー(74’クルゼフスキ)、ソランケ(62’ソン)、オドベール(18’ジョンソン)
MF ペリヴァル(62’マディソン)、ベンタンクール、サール
DF ウドギ(46’スペンス)、デイビス、ドラグシン、グレイ
GK フォースター
sub:ヴィカーリオ、レギロン、ポロ、ムーア
得点シーンは大きなヒント
リーグ戦は開幕から1勝2敗1分と控えめなスタートになってしまった。イマイチ上昇のきっかけを掴めないままにここからは休みなく試合が続く。ヨーロッパリーグも含めたカップ戦は比較的出番の少ない選手たちにチャンスが巡ってくる機会でもあり、貴重な時間ではあるのだが、去年は2回戦でフラムに一昨年は3回戦でフォレストに敗れているのがこのカラバオカップだ。
スパーズは先発を8人変更した。リーグ戦からの連続スタメンはウドギ、ベンタンクール、ソランケの3人。上手くいかなかったのをターンオーバーのせいにするわけにはいかない。なぜなら相手は2部のクラブであり、相手もリーグ戦から7人を入れ替えているのだから。
結果を見るとお見事な逆転勝利だが、1日経って振り返っている今、どうも負け試合だったかのような気分でいる。スペンスが値千金の同点弾を叩き込むまでスパーズに得点の匂いはまるでなかった。毎年訪れるカップ戦の無気力試合という恒例行事。勝ったから良かったねなんて思ってはいないが、ボールを握りつつチャンスを作れない問題点は今日の2点に集結していたと思う。そこからポジティブを拾いたい。
まずはジョンソンのゴールの話に少し触れつつ、良いところのなかった88分までを振り返る。特にシュート0に終わった前半はそれはそれは酷いものだった。
最近ここでは散々言っているが、中盤に入ったクルゼフスキがワントップの近くにいることは良いことだと思っている。今日はその役割をする選手がいなかったことが苦戦に繋がった。
ベンタンクールはアンカーなので下り目にいるのは正しいが、右サイドバックのグレイがポロほどに前に行かずボランチのように振る舞うのに、サールもペリヴァルも下がってプレーしたがるのでソランケが完全に孤立していた。ペリヴァルは早い段階でそれに気がついて前に残るようになったのは偉かったなと思う。グレイとサールは同じような位置にいることが多くて前線のサポートが足りていなかった。個人的にはサールが前に出るべきだったとは思うが、いつもはポロが上がっているのでいつも通りのプレーだとも言える。周りがコーチングするか本人同士で役割を決め合うべきだったんじゃないだろうか。
こうして前線がスカスカだった時間帯に別の気付きもあった。ソランケが中央で孤立している時に左のヴェルナーと右のジョンソンはどこにいるかというと、どちらも自分のサイドのタッチラインギリギリでボールを待っている。これはチームの戦術だと思うので選手を責める部分ではないと思うが、これだけ3トップの距離が遠ければ、ボールを受けた時にやれることは個人技での打開しかない。要は全員が孤立していた。
あそこまで外に開いていると、ボールを受けた瞬間にはタッチライン際に追い詰められている状態になってしまう。そこからだと仮に対面のDFを突破できてもペナルティエリアがまだ遠くて、クロスを上げるにも難しい距離になる。本来なら得点源にもなるはずのウイングがあれだけゴールから離れた位置にいるのはどうかと思う。逆転のゴールはジョンソンが珍しく内側にいたことで生まれたものだが、あの位置だとボールを持った時にシュートが選択肢に入ってくるし、ドリブルするにも外も中もある状況を作れる。だからウイングの立ち位置は、せめてペナルティエリアの幅くらいにして、そこからサイドに流れるなり裏に走るなりして動きを出した方がいい。サイドに開きすぎて待っているだけだと、あまりにもやれることが少なすぎる。
長くなりそうだけど続いてスペンスのゴールシーンから。簡単に流れをおさらいすると、マディソンがワンタッチの縦パスを入れてクルゼフスキがCBを背負いながら収める。そこで裏に走ったスペンスにクルゼフスキが必殺のスルーパスを出したという綺麗な中央突破のゴールだが、ここにも問題点はある。注目すべきはクルゼフスキのポストプレーの瞬間だ。
マディソンの縦パスをクルゼフスキが収めた瞬間に動き出している選手はいなかった。クルゼフスキがトラップで時間を作ってから、スペンスが前のスペースに気がついて走り出している。本来ならあれは、マディソンがスイッチの縦パスを入れた段階で次の選手は裏を狙って走り出さないといけない。前節までになんでもっと縦パスを入れないんだという不満をここで話してきたが、理由がわかったように思う。縦パスをCFに付けてもそこからどう崩すかが共有されていないから、リスクのある縦パスを入れられないのだ。
ポステコグルーが攻撃的にいくという信念を曲げることは決してないと思うし曲げないで欲しいとも思うが、実現方法には固執しない監督であると信じたい。個人的にはウイングのスタートポジションはもう少し内側である方が良いと思ったのと、中央突破の約束事ができればいいなと思う。もちろんこんなのは言うは易し。今の方法を続けて精度が上がれば、驚くような破壊力を見せる可能性だってある。どっちにしても結果次第なので。