2025-2026 プレミアリーグ 第34節
Wolverhampton Wanderers 0 – 1 Tottenham Hotspur
Stadium:モリニュー・スタジアム
得点
82分:ジョアン・パリーニャ(Spurs)
トッテナム・ホットスパー
FW シモンズ(62’ベリヴァル)、ソランケ(40’リシャルリソン)、コロムアニ(46’テル)
MF ビスマ(62’パリーニャ)、ギャラガー(91’ドラグシン)、ベンタンクール
DF スペンス、ファンデフェン、ダンソ、ポロ
GK キンスキー
sub:オースティン、ソウザ、グレイ、マディソン
ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ
FW ゴメス(72’アコロダレ)、アームストロング、マネ
MF ブエノ(95’ウルフ)、ゴメス、アンドレ、リマ(85’ファンヒチャン)
DF トティ、ブエノ、ドハーティ(85’チャチュア)
GK サー
sub:ベントレー、オラグンジュ、ベレガルド、ゴメス、エドジー
首の皮一枚繋がった
泣いても笑ってもラスト5試合。ではあるものの、前節終わりに言ったように今日勝てなければ残留はありません。今年一度も勝てていないとか、ウルブズは相性の悪いチームだとか言い訳はたくさん思い浮かぶけれど、降格の決まった最下位のチームに勝てなければ残り試合で残留するだけの勝ち点を稼ぐのは不可能です。そう思いながらヒリヒリして試合を見ていました。とにかく勝ててよかった。パリーニャありがとう。なんとか希望を繋げられた。
良い試合が出来たブライトン戦の後なので逆に不安に見ていた立ち上がりは、思っていた以上に気持ちがこもっていて良かった。特に勢いがあったのは右サイド、コロムアニを起点にアンダーラップで走り抜けていくペドロ・ポロ。それだよポロ!って思った。シンプルなプレーなんだけど効果的で、ちゃんと相手を崩せる。ポーンマスなんかはこうしたサイドバックが追い越していく動きを当たり前にやっているよね。それが非常に厄介なんだけど、あまりにもスパーズのサイドバックはやらなすぎた。ポロがあっさりと裏をとったものの、チームとしてこんなに上手くいくつもりで設計されていなかったので、中央でクロスを待つのはソランケだけで決定機とまではいかなかった。
これを続けていけば点が取れるぞと思っていた中でリズムを崩したのも右サイドだった。コロムアニがなんでもないパスズレを連発し、無駄なカウンターをいくつか受けたことでみんながまた前に行くことを恐れるようになってしまった。そこからは後ろ寄りの選手たちはバランスを取ることだけを重視するので前線に行くほど人がいなくなり、中央に攻める勇気を持っている人は皆無でサイドにボールを集める割に、サイドを攻略してもクロスを上げるわけでもない謎の時間が続いていた。
そしてまたしても負傷者トラブル。前半にはソランケが後半にはシモンズがシーズンアウトの負傷で抜け、スパーズを覆う暗雲がこれ以上なく濃くなってしまったところで、パリーニャが無様な泥臭い魂込めたゴールでチームを救ってくれた。コーナーキックが中央でぐちゃぐちゃっとなり、チームのトップスコアラーであるリシャルリソンが当たり損ねのシュートを放つ、それでもサッカーの神様に見放されてはいなかった。そのへなちょこシュートがパリーニャの前に転がり、そいつを気持ちで押し込んだ。正直にいうとオフサイドだと思ったせいでぬか喜びになりたくなくて画面の前では冷静でいてしまったのだけど、これまたなんの縁か元スパーズのドハーティが片足を残してくれていたのでこちらが値千金のゴールになりましたとさ。
裏でフォレストもウェストハムも3ポイントを積んだので、これだけ苦労してようやく明けまして初勝利おめでとうをしたにも関わらず、降格圏から抜け出すことは出来なかった。ギリッギリの勝利に喜ぶ反面、失ってしまったものの大きさに頭を抱えざるを得ない。ソランケとシモンズだ。
今シーズンの異常なまでのスパーズの負傷者の数には色々な説が唱えられている。そこに僕も一つ新説を加えさせてもらおうと思います。結論から言うと、「チャンスメイカーが無理しないとチャンスが作れないから」です。
昨年のセンターバックトラブルは、やはりポステコグルーの戦術に起因していたものだった。しかしあくまでも起因だと思っている。それが原因の全てであったわけじゃない。ハイプレスを要求し最終ラインも高くに設定する。それで攻め切れるのなら何も問題になっていなかったのに、良くないボールの失い方が多くて相手のカウンターにディフェンスラインが全力疾走をで対処することが多すぎたのだ。サイドバックはともかく、センターバックの選手は一試合の間に長距離スプリントを繰り返すように体を作ってきていない。今までは必要とされなかった筋肉を酷使させられたことが、あの時期の負傷者の多さだった。
今年はずっとリスク管理を念頭に置いてプレーしていたので、ポステコグルー時代のような守り方は減り、それに伴ってディフェンスラインの筋肉系の負傷は明らかに減った。まあその代わりに退場は増えたんだけどそれは置いておきます。後ろは安心安全で運営していた一方で、攻撃の設計はだいぶおざなりだった。これにより何が起こるか、攻撃を前線の選手たちの個人に委ねることになってしまったのだ。
ソランケ、リシャルリソン、コロムアニというセンターフォワード勢は基本的にはチャンスメイクが上手いタイプじゃない。守備は頑張って追いかけてもらって攻撃時は中央で勝負したいタイプだ。あとは冬までいたブレナンジョンソンもフィニッシュに特化したいワガママな選手だったのでチャンスを生み出してはくれない。今日の試合でポロのアンダーラップに感動したくらい、後ろからの選手の関わりも希薄な状況で前半戦はクドゥスに依存し続けていた。チーム全員がボールを持ったらまずクドゥスを探し、預けたらサポートもせずにあとはよろしくと距離をとっていた。可哀想なクドゥスはボールを持ったらどんな状況でもドリブルを仕掛ける。そうしないとチームとしてゴールに迫る可能性がないからだ。そんなブラックな労働環境でついに体を壊し、今シーズン戻ってくることは出来なかった。そりゃそうだよね自分が苦しんでいた時と職場の環境は何も変わっていなくて、戻ってきたらその日から同じような扱いを受けることがわかっているのに戻ってきたくないよね。とまあ最後は冗談としても、こうした誰かに依存するチームの精神性が、自身をチャンスメイカーだと自認している勇気ある選手たちを壊していったんじゃないだろうか。
少し不運なケースもあるとはいえ、クルゼフスキ、マディソン、クドゥス、オドベール、シモンズとまずは一人でなんとかしてくれよと期待される選手ばかり壊れていくのは偶然じゃないと思うのだ。今日のシモンズの負傷だって、誰もサポートに来てくれない中で必死にボールを失うまいと孤軍奮闘していた時のものだった。攻撃の選手がボールを持ちながら相手を剥がそうとする時は相手の予想を上回る動きをしなければいけない。そうやって自分の限界を越える動きを続けてしまいそれが怪我に繋がっているんじゃないかと試合を見ながら思いました。これを改善するにはやはり、チームのみんながボールを怖がらないことだと思うんだよな。最後に怖いことを言うんだけどさ、この仮説が当たっていた場合、次に怪我をするのはテルかベリヴァルです。マディソンを復帰させない場合に次にチームが誰に依存するのかというとテルになるだろうし、ベリヴァルもおそらく気負って相手に向かっていくから。本当はコロムアニあたりがその負担を軽くして欲しいんだけど、彼は決して自分のキャパを越える頑張りは見せてくれない。だからこそ怪我をしていないし、サポーターに愛されてもいないわけだけど。
せっかく勝ったのになんか暗い記事になってしまってすみません。思うところはやはりあるが、この勝利はとても大きい。これまで試合時間が進むにつれて選手やサポーターが不安に包まれていくような雰囲気は少しでも振り払えるはずだ。残りの対戦相手を見ると厳しそうに見えるけど、それはウェストハムも同じです。なんなら今日の勝利で、安全圏だと思っていたフォレストの背中も見えている。最後まで戦うんだぞ。まだ何も決まってはいないんだから。