2025-2026 プレミアリーグ 第38節
Tottenham Hotspur 1 – 0 Everton
Stadium:トッテナム・ホットスパー・スタジアム
通算戦歴:109勝54敗19分(勝率:61%)
得点
43分:ジョアン・パリーニャ(Spurs)
トッテナム・ホットスパー
FW テル(73’サール)、リシャルリソン(73’コロムアニ)、スペンス
MF ベンタンクール(82’グレイ)、ギャラガー(82’マディソン)、パリーニャ
DF ウドギ(90’ドラグシン)、ファンデフェン、ダンソ、ポロ
GK キンスキー
sub:ヴィカーリオ、ビスマ、ベリヴァル、ソランケ
エヴァートン
FW エンディアイエ、バリー(84’ベト)、レール(62’ジョージ)
MF デューズバリーホール(84’アルカラス)、イエログブナム(84’コールマン)、ガーナー
DF ミコレンコ、キーン、ターコウスキ、オブライエン(62’アームストロング)
GK ピックフォード
sub:トラバース、アスノウ、マクニール、ディブリング
もう二度と繰り返さないように
誠に不本意な理由にて、プレミアリーグ最終節の再注目カードになってしまった。大きく目指すものが残っていないクラブの中にはワールドカップのメンバーに選ばれた選手を休ませるという粋な計らいをしているところもあるというのに、こちとら昨年のEL決勝を凌ぐ緊張感で最後の1秒まで気の抜けない戦いをしている。まあこんな順位にいるせいもあってワールドカップの出場者は想定していたよりだいぶ少ないんですけどね。
固定メンバーで戦ってきたデゼルビは1箇所だけ変更を入れた。コロムアニではなくジェド・スペンス。コロムアニoutに私歓喜。お気持ちは前回たくさん書いたので割愛しますが、今日も今日とて出てきてからの20分くらいで何度走れよと思ったことか。それに聞けばスペンスは「チームのために戦う準備は出来ています。プレーさせてください」とデゼルビに直談判していたとか。夢の代表選出の直後に怪我のリスクとか考えずに戦うんだという気持ちは嬉しいよね。言うだけあって良いプレーだったぜ。
モイーズは古巣の降格を阻止するためにという並々ならぬモチベーションがあったらしいが、中位確定の選手たちには頑張る理由があまりなさそう。そんなカードが最後に残っていたことはラッキーだったが、そうした相手がどうこう言う前にスパーズの選手たちのプレーぶりは素晴らしかった。あのヴィラ戦で見せてくれたような強度の高い戦い方で、前半は相手を圧倒した。なんでこれができる試合とできない試合があるんだろうと考えてみたんですけど、選手たちがハマった試合になる理由をわかっていないからなんじゃないかと思い至りました。同じように頑張っているつもりなんだけど、どこがどうなると良い試合展開になっていくのかが成功体験が少なすぎてわからない。ちょっと条件が違うだけでもピッチ上では修正できない。積み重ねていけば変わっていけるんじゃないかというポジティブ仮説でした。
前半のいい流れのうちに先制し切れたことが全てだった。スコアレスのまま後半を迎えていたら全く違った結末になっていたはずだ。W杯を目指すためにとレンタルでやってきたジョアン・パリーニャ。その目標は叶わず、正直パリーニャからしたら来年いるかどうかわからないクラブが降格しようがどちらでも良いわとヤケになっていてもおかしくはないのに、誰よりも熱い気持ちでピッチに立ってくれていた。本当に感謝してる。プロの鑑たるこの姿勢はきっと若い選手たちも見習ってくれるはず。この1年のベスト補強はパリーニャだったとこの勢いで言いそうになって転換します。たぶんベストバイはクドゥスだね。半分冗談半分本気で聞いてほしいんですけど、スパーズにもたらした勝点と言うよりもウェストハムに残っていた時にウェストハムにもたらした勝点も一緒に奪えたことがスパーズを残留させたのだろうから。
そういえば今日の試合でデゼルビの采配に痺れたところがあったので共有してみます。81分のベンタンクールの交代です。後半に入ってから変わらぬテンションで試合に入ったつもりのスパーズイレブンだったが、時間が経つにつれて追いつかれる恐怖が心を支配し始める。ウェストハムがリードしているという状況を知ったスタジアムのサポーターの動揺も選手に伝わってしまったはずだ。徐々に前に出ていけなくなり、それほど決定機を作られたわけではないにせよ、エヴァートンが押し込む時間が続いていた。そんな中、70分過ぎくらいからベンタンクールのプレーが少しずつ消極的になっていた。前に運ぶのではなく無理のないプレーを選択したくなり横や後ろへの安全策が第一希望になり始めていた。しかもそんな気持ちは相手に見透かされ、ベンタンクールが思っているようにキープの時間を作る間もなく、回収されることが増えた。見ていてこれはまずいなと感じた。全員がこうして弱気になり気持ちが引けてしまえばきっと耐え切れない。そんな矢先の交代だったのだ。リスキーなプレーをしがちなビスマやベリヴァルでなく堅実なグレイを代役に入れると同時にマディソンを投入したのはデゼルビのメッセージだったと思う。結局その後はボールが空中を飛び交う展開になったためにマディソンもらしいプレーを見せることは出来なかったが、あの明確な指針とマディソンの存在感が生み出す勇気に賭けた采配はとても良かった。
それから最後の交代枠に選ばれたドラグシンの投入にもドラマがあった。試合後のインタビューで「残留に向けて最も重要だった選手は誰か」と聞かれたデゼルビは即答でドラグシンの名前を挙げたらしい。曰く「プレーをしていなくてもロッカルームでのポジティブな姿勢がチームを支えていたんだ」と。そんなことを考えていたデゼルビが運命を賭けた最後の切り札として最も重要な局面を託したのは、感謝でも温情でもなく信頼だと思う。技術や実績や経験といったものよりも極限の状態で大切なのは信頼だった。普段からチームのために100%を出しているからこそここで選ばれたのだ。これは「ドラグシンなら守ってくれる」ではなく「ドラグシンのミスでダメならしょうがない」という感情なんじゃないだろうかと思う。まあほとんど憶測だけど、僕ならそう考えるなという話でした。
苦しいシーズンだったけど、なんとか踏みとどまった。来シーズンも我々はプレミアリーガーでいられるよ。冒頭にEL決勝のような緊張感だったって言ったけど、試合展開もすごく似てたよね。前半のゴールの時間もほぼ同じだし、ジョンソンなのかパリーニャなのかという違いこそあれ、ゴールラインを超えたか超えてないかくらいのギリギリを魂で押し込んだかのようなゴール。そして一方的に受けに回る後半戦の最後の局面でのビッグセーブ。去年はファンデフェンで今年はキンスキーだった。試合終了のホイッスルが鳴った時なんてあたかも優勝した瞬間くらいのスタジアムの喜びようだったもんね。翌日仕事だったからすぐに寝たけどさ、久々に安心して眠れた気がするよ。
正直言って楽しい時間なんてほぼなかったシーズンでしたが、みなさんよく最後まで戦い抜きました。選手のプレッシャーも相当なものだったとは思うけど、サポーターも同じくらい労われて良いと思いますよ今年は。昨年と同じ順位ではありますが、獲得した勝点は3ポイント増えました。それとELの優勝で成功のシーズンな雰囲気だけ出してリーグの結果と試合内容は全然よろしくないまま終わった昨シーズンよりは、辛く厳しい戦いながら上向きにシーズンを終えられた今年の方がなんか来年に繋がっている気もしているよ。時間取れれば振り返り系の記事も書きたいと思っていますが、ひとまず1年間みなさん本当に本当にお疲れ様でした!