ご無沙汰しております。ワールドカップに夢中になっていたら1ヶ月も空いてしまいました。いやホント仕事しているか試合見ているかっていう平日を送っていたらPCに向かう時間はないですね。しかも日中は試合結果を知らないようにSNSはおろか各種ニュースサイトや電車の広告、他人のスマホの画面まで目に入らないように気をつけているので、こんなスパーズのビッグサマーの情報ももれなく1日遅れで享受しておりました。2シーズン連続17位のクラブを今このタイミングで応援し始めようという酔狂な人間はいないだろうと思ってはいるのでこんな補足は不要かもしれませんが、今年の夏のスパーズは異常です。
トッテナム・ホットスパーの夏の移籍市場といえばお決まりの様式美がありました。市場が開く7月の初旬に素早く1件の補強を発表し、おっ今年は本気の補強をするのかと期待だけさせておいて、あとは身の丈に合わないビッグネームと交渉中の噂を夏中引っ張っては、最終日にターゲットを第三希望くらいに切り替えてギリギリでそれが取れるか取れないか。買うときは1ポンドでも安くすべく粘りに粘っては要求額を支払う他のクラブに取られたり、売るときも1ペンスでも高くしようと吹っ掛けては売れず契約満了まで戦力外の選手を無駄に抱えるようになるというのが恒例行事だった。
今年はそうした悪癖を振り払うというよりは、ヤケになっているかのような動きを見せている。正直ロバートソンとセネシの獲得まではいつも通りだなと思って見ていた。迅速ではあるものの移籍金のかからないスパーズらしいやり方だったから。少しおやっと思わせてくれたのはファンヘッケの獲得から。残り契約1年の選手にしては高額な支払だった。しかしまだ騙されない何年サポーターをやっていると思っているんだ。ファンヘッケの獲得は即戦力がどうとかいうよりもデゼルビの御機嫌取りに違いない。去年だってこのくらいのタイミングでクドゥスを取っているしまだ例年通りに過ぎない。そうして続報はドゥブラフカ、ほら見たことか。今聞こえてくる耳障りの良いビッグネームはお得意の目眩しに決まっている。
「マテウス・フェルナンデス、史上最高額でHere We Go!」
「サンドロ・トナーリ、史上最高額でHere We Go!」
?????
1億ポンドに程近い移籍金をわずか3日で2件!?すみません多分これ間違ってます。クラブ名のところ、トッテナムじゃないですよ。マンチェスター・シティじゃないですか。え、間違っていない?いやいやそんなバカな・・・え、本当に変えていくつもりなのか、、
というのがここまでの1ヶ月だった。このままでは驚き終えた事実を今さら羅列するだけに記事になってしまうので付加価値としての勝手な考察をします。お付き合いください。
フロントが本気出してきた。というのは事実なんでしょう。ただこれは他にどうしようもなくなって渋々やっているんだろうなあと思っている。今までのやり方じゃダメなんだと、長年の功労者ダニエル・レヴィを突然の解任に追い込んだにも関わらず、新体制で臨んだ冬の移籍市場はここ数年で最も酷いものだった。怪我人続出で頭数が足りていない中で、ウイングのジョンソンを放出して中盤のギャラガーを獲得。直後のクドゥスの負傷こそ不運だったが、ここでも金を渋ったことで本職の右ウイングはゼロ、中盤は人数過多という歪なスカッドを生み出し、移籍市場が閉まってから監督も交代という後手後手の対応に終始した。状況は悪化を続け本当にギリギリに残留を決めた。2年連続の17位、サポーターとの関係性という意味でフロントは後がなくなったんだと思う。そこで今夏は嫌々財布の紐を緩めることに決めたのだ。収支に関する厳しい規定があるにも関わらず来年ヨーロッパ収入のないスパーズがこれだけのお金を使えるのは、それこそレヴィの健全経営の賜物だった。例えこの補強が身を結び、来年はそれなりの成績を残せたとしてもそれは今年のフロントの功績ではない。もっと長い目で見ていくぞ。新しい持続可能なチーム作りが出来て初めて評価できるもののはずだ。
最後にしておきたい話は、チームを改革したいならこのくらい一気に変えることが必要なんだろうということ。この1年くらいフロントの補強方針は一貫している。偏った若手重視の方針は改め、若手を引っ張っていけるような即戦力&リーダーシップを求めている。若くて才能のある選手を揃えておけば勝手に育っていくというのはゲームの中だけの話だとようやく気がついたのだ。しかしどんなに優れた魂を持っていても新しい組織に新参者として入っていって、すぐに自分の影響を与えていくというのは簡単じゃないと思う。むしろヌルい空気感の中にたった一人で放り込まれて、孤立無縁で厳しいことを言ってみても白い目で見られるだけ、いつの間にか自分の方が既存の選手に染められてしまうなんていうことは本当によくある悲しい失敗だ。
ほんの数人に改革者になってもらうことを期待するよりも、いっそ大幅に選手を入れ替えてしまい新しいチームを作り上げようとするのは良い手段だと思う。そうそう出来ることではないが本格的に降格の可能性まで見えてきたこのタイミングはスクラップアンドビルドの理由付けとしてはこれ以上ない。ほぼ間違いなくこれから攻撃的な選手の補強もあるだろうし、レンタル組が来季の構想に入ることがあれば10人近くは新戦力という扱いになってくる。チームの3分の1が入れ替わり実力とリーダーシップのある選手たちに置き換わっていくのなら、チームに蔓延る文化も変えていけるのかもしれない。変えるというよりは新しい文化を築いていってほしいというのが来年に期待したいことかな。
数々の名監督が匙を投げたスパーズの悪しきメンタリティを変えていく千載一遇のチャンスは今です。ロベルト・デ・ゼルビの威光でこれだけの選手が集まってきたのだ。またトップ争いに加わるための土台を作れるか。タイトルを目指すとかそういう意味とはまた違って方向性での勝負の一年になるだろう。