2024-2025 プレミアリーグ 第15節
Tottenham Hotspur 3 – 4 Chelsea
Stadium:トッテナム・ホットスパー・スタジアム
通算戦歴:93勝38敗12分(勝率:66%)
得点
5分:ドミニク・ソランケ(Spurs)
11分:デヤン・クルゼフスキ(Spurs)
17分:ジェイドン・サンチョ(Blues)
61分:コール・パーマー(Blues)
73分:エンソ・フェルナンデス(Blues)
84分:コール・パーマー(Blues)
90+7分:ソン・フンミン(Spurs)
トッテナム・ホットスパー
FW ソン、ソランケ、ジョンソン(53’ヴェルナー)
MF サール、ビスマ(79’ベリヴァル)、クルゼフスキ(79’マディソン)
DF ウドギ、ファンデフェン(79’グレイ)、ロメロ(15’ドラグシン)、ポロ
GK フォースター
sub:オースティン、レギロン、スペンス、ランクシャー
チェルシー
FW サンチョ、ジャクソン(76’エンクンク)、ネト(86’マドゥエケ)
MF フェルナンデス、パーマー(91’フェリックス)、ラビア(46’グスト)
DF ククレジャ(91’ベイガ)、コルウィル、バディアシル、カイセド
GK サンチェス
sub:ヨルゲンセン、ディサシ、アダラバイヨ、デューズバリーホール
また1点差で
昨年までのチェルシーは、とんだ迷走クラブだったはずだ。若手を乱獲し溢れさせ出場機会を奪い、ほぼ全員が入れ替わった新チームにしても監督に時間を与えずにクビを切って回るような。そして今夏、生え抜きで人気の高いコナー・ギャラガーをあっさりと放出し、いよいよサポーターも愛想を尽かしたかと思ったら、新監督マレスカの元でチームは団結し、今や誰もギャラガーのことを話題にしてはいない。チェルシーのやり方は羨ましいと思わないが、選手がいないという悩みとは無縁の部分だけは妬ましいものだ。
デイビスの負傷でセンターバックがいよいよドラグシンただ一人となってしまい、どうするのかと思っていたら、ロメロとファンデフェンが揃ってサプライズ復帰となった。頼もしい二人が戻ってきたと喜ぶ反面、戻るや否や問答無用でドラグシンをベンチに追いやってしまったら、長くはいてくれなくなっちゃうだろうと心配にもなった。今日もロメロトラブルで出場してからは特に問題ないパフォーマンスだったので余計にね。
ところでまた、負傷から戻ってきた選手が負傷してしまった。ロメロの負傷は足の甲だったはずで、今回は太ももの怪我らしいから再発というわけではないが、これでリシャルリソンとオドベールに加えてファンデフェンとロメロ、4人の復帰戦での再負傷となった。これは偶然なんだろうか。メディカルのチェックが甘いのか、コンディショニングを考えるスタッフの準備ミスなのか、ポステコグルーの戦術負荷なのか、本当にただの不運なのか。一回ちゃんと検討してほしい。これじゃあいつまで経っても戦力は揃わないじゃないか。
ククレジャのプレゼントによって2点を先行した序盤は、勢いがありプレスの質も高かった。ちゃんと最前線がコースを限定して、クルゼフスキとサールが迷いなく潰しに出られている時間はいい流れだった。しかし疲労で動きが鈍ったのと、パーマーあたりが上手いことスペースを見つけてボールを引き出してきたことで、ビスマの周りのスペースを使われるようになるとピンチが増えた。奪いきれると一気に得点チャンスになるスパーズのプレスだが、中途半端になる時のバランスの悪さは調整したい。あまりにも中盤後方のスペースがありすぎて、あれを守り切るのはどんなアンカーでも難しい。おそらくはそのスペースはディフェンスラインがさらにハイラインにすることで中盤を圧縮するのが理想系なんだろうが、それが現実的なやり方なのかはわからない。多分あまりにもハードすぎる。
この試合は先にリードしたこともあってチェルシーがボールを握り続けていたのだけど、やっぱりその要因にあるのはスパーズの選手が簡単にボールを失いすぎることだなと思った。個人が球際で勝ちきれないこともあるし、次にボールを受ける選手が顔を出さないのでボールを逃せないこともある。ただ、一番思ったのは、チェルシーの選手たちはだいたい一人は個人技で剥がしてくるよなってところ。このちょっとした個人でのプレス回避がチェルシーのポゼッションの軸にあった。もう少しうちも自信を持ちたいね。
少し個人にも触れると、ウドギの守備は今日頼もしかった。対面するネトのドリブルは全く問題なさそうに止めていた。スピードで勝負してくる選手には強い。あとは運びのドリブルまでは良いから、もう少しゴール前でできることが増えてほしい。まだ若いからこれからが楽しみだ。
あとは短い時間だったけど、ベリヴァルも印象的だった。アンカーに入りボールを展開する役割を担うと、プレシーズンで見えた輝きが戻ったようだった。追いかける展開で相手の寄せも少ないポジションだと、技術の高さが伺える。他の選手にはないロングレンジのパスが単調になりがちな攻撃に良いアクセントを加えていた。守備のことを考えない起用法だがら生きているのではあるが、プレミアに慣れるきっかけになってくれると大きい。
さてこれでだ。なんと11位に転落した。このタイミングでお気持ちの表明をしておきたいんだけど、個人的にはポステコグルーの解任には反対です。本当はこれ単体で1記事書きたいんだけど、いかんせん試合の感想書くだけで忙しいのでここで少しだけ。
結果が出ていないから次の監督っていうのは簡単な決断なんだけど、モウリーニョでもコンテでもダメだったクラブを一朝一夕に強豪チームに変革できる監督なんているとは思えないのよ。また現実的を合言葉にした退屈な守備サッカーを見るのも嫌だしね。
少なくともポステコグルーにはビジョンがあり、良くも悪くもそれが明確だ。何をしたいのかわからない監督がいるよりもよっぽどいい。それに最近の補強は若い選手に偏っていて、どう考えてもクラブだって今年優勝してくださいというスタンスじゃない。今すぐの結果はコンテを解任した時点で諦めて、数年先を見据えたチームを作ると決めての人事だったはずだ。
良くない時期を我慢してみんなで乗り越えて団結していくチームが見てみたい。もし選手たちからも不満が出てきてポステコグルーが求心力を失ってしまったら、その時は仕方ないかもしれないが、今のところはそうではなさそうだ。監督を変え続けて辺りを引くのを待つようなことはしたくない。この攻撃サッカーが結実するところをみたい。ロマンをまだ追いかけていたい。