2020-2021 プレミアリーグ 第10節
Chelsea 0 – 0 Tottenham Hotspur
Stadium:スタンフォード・ブリッジ
得点
なし
トッテナム・ホットスパー
FW ベルフワイン(89’デイビス)、ケイン、ソン(92’モウラ)
MF ホイビュア、エンドンベレ(65’ロチェルソ)、シソコ
DF レギロン、ダイアー、ロドン、オーリエ
GK ロリス
sub:ハート、デイビス、ベイル、ヴィニシウス
チェルシー
FW ヴェルナー(74’プリシッチ)、エイブラハム(79’ジルー)、ジエフ(83’ハヴァーツ)
MF マウント、カンテ、コヴァチッチ
DF チルウェル、シウヴァ、ズマ、ジェームズ
GK メンディ
sub:ケパ、リュディガー、アスピリクエタ、ジョルジーニョ
慎重に慎重に試合を進めた結果のスコアレス
モウリーニョにとっては想定内なのかな
勝てないことより負けないこと
ロンドンダービーでの首位争奪戦はトッテナムにとって今シーズン最初のスコアレスドローに終わった。ということで再び順位表のテッペンを取り返した。
両者ともに予想通りのラインナップだ。唯一のサプライズはジョー・ロドン。プレミアリーグ初先発はチェルシー戦でやってきた。この人選は驚いたが、試合を見ていくと起用の狙いはわかった。
シティ戦同様に、堅牢な守備組織をまずは築く。ホイビュアとシソコはCBとSBの間に降りてスペースを消して、時に6バックとも言えるくらいに引く。すると当然チェルシーは中央に侵入できないので、サイドからのクロスに頼ることになる。スペースをそもそも作らないのなら、スピードのあるサンチェスよりも高さのロドンになる。なるほどと思う選手選考だった。
そんなロドンは立ち上がりから、ボールを持ってからのプレー選択に迷いが見られた。まあそれも当然か、初の実戦でチェルシーもそれなりにプレッシャーはかけてきていた。一つのミスが命取りになるという重圧はすごく重くのしかかっていたのだろう。幸いなことに二つの致命的なミスが今回は失点に繋がらなかった。ここら辺はいい勉強になったと思うから、これからに期待したい。求められていた空中戦の対応はよく出来ていた。アーリークロスを入れられても、最後までエイブラハムに体を当てて自由にさせず、決定機を摘み取っていた場面は何度も見られた。
さて試合はというと、言うまでもなく攻めるチェルシーに守るスパーズ。チェルシーがリスクを冒さない攻撃に徹したことで、スパーズも効果的なカウンターを放てなかった。カウンターっていうのは相手が守備の準備が出来ていない瞬間に攻めるから有効なのであって、陣形を崩さずにボールを回してくると隙を見つけるのは難しかった。中央にカンテがいたせいか、守から攻に切り替わった瞬間になかなか真ん中にボールをつけられなかった。
それでもカウンター一辺倒になっていなかったことは成長した部分だと思う。悪い時は取ったらとにかく前しか見えなくなっていたものだけど、今は近場の選手に繋いで前の選手が動く時間を作れている。だから無闇にボールを失わず、まず自分たちの時間を作ることが出来た。スパーズも遅攻になってからはリスクをかけようとしないので、攻撃には迫力が足りなかった。
しかしエンドンベレは凄かったね。ボールを持ったらとにかくドリブルするから前は怖かったのに、今やそれで取られる気がしない。レギロンの推進力とエンドンベレのスキルは陣地を回復するのにかなり効いていた。
チーム全体として感じた変化はボールを奪われた瞬間の姿勢だ。シュートまで行けずに途中で奪われた時、まずは近場の選手が即プレスに行く。ミッションは前に蹴らせないことだ。別に奪えなくてもいい、後ろが守備の陣形を整えるだけの時間を稼げれば。
これは前線の選手だけでなく、中盤の選手たちにまで求められていたようで、適宜ホイビュアなんかは意識的に前に飛び出して相手をペースダウンさせている時があった。陣形さえ整えば簡単にはやられない。そこからはまた同じ守備を繰り返せばいいのだから。
お互いに相手のカウンターを恐れる展開が最後まで続いた。スパーズは効果的なカウンターが今日は繰り出せないなと判断すると、1ポイントを持ち帰ることに決めた。それがあの時間でのデイビスの投入だった。守備のタスクを懸命にこなしてくれていたベルフワインがへばっていてもモウラやベイルに代えるのは怖かったんだろう。あとはチームへのメッセージという意味もあるかな。
最後の最後にズマのミスを拾って仕掛けたショートカウンターは本当にもったいなかったけど、直前のロドンのミスも外してくれたから妥当な結果だったと思う。いやむしろロリスのビックセーブがなければ負けていた。サッカーが判定制のスポーツだったら今日は難しかったかもしれない。ほんの僅差だろうけど。
今や本当に強いチームのように見えてきた。長いリーグ戦ではこうして現実的な選択で奪った1ポイントが最後に笑う要因になるかもしれないということをモウリーニョはよくわかっている。その監督のオーダーにちゃんと応えられるようにもなってきた。山は越えた本来ならここで気が抜けるものだが次はノース・ロンドン・ダービー。いい刺激があってよかった。1位vs14位じゃ薄味だけどな。
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