2022-2023 プレミアリーグ 第10節
Brighton & Hove Albion 0 – 1 Tottenham Hotspur
Stadium:ファルマー・スタジアム
得点
22分:ハリー・ケイン(Spurs)
トッテナム・ホットスパー
FW ソン(80’ペリシッチ)、ケイン(90’スキップ)
MF セセニョン、ホイビュア、ビスマ(71’リシャルリソン)、ベンタンクール、ドハーティ
DF デイビス、ダイアー、ロメロ
GK ロリス
sub:フォースター、サンチェス、ラングレ、スペンス、サール、ヒル
ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオン
FW トロサール、ウェルベック、グロス(82’ララーナ)
MF エストゥピニャン(67’三笘)、カイセド(89’ギルモア)、マクアリスタ、マーチ
DF ウェブスター、ダンク、フェルトマン(89’ランプティ)
GK サンチェス
sub:スティール、コルウィル、ターンズ、サルミエント、ウンダブ
コーチに捧ぐこの勝利
トッテナムは悲しみの時間を過ごしている。フランクフルト戦の後、フィットネスコーチを務めているジャン・ピエロ・ヴェントローネさんが急逝した。コンテと共にやってきたスタッフで、それこそコンテが現役時代に指導を受けていたところから、今は一緒に仕事しているという付き合いの長い方だった。
プレシーズンに話題に上がっていた厳しいトレーニングは彼によるもので、練習はキツかったと選手は口々に語っていたが、ケインをはじめとして今シーズンの好調の要因にあのトレーニングをあげる選手は少なくなかった。訃報の翌日は練習は中止になり、コンテも今日の試合への出場を強制することはなかったと話してくれた。とても難しい精神状態の中、戦う決意をした選手たちに敬意を表したい。そしてヴェントローネさんのご冥福をお祈りいたします。
アウェーの戦歴が上がってこないこともあり、この試合は難しくなるだろうと思われた。対するブライトンはいいシーズンのスタートを切った。良すぎてポッター監督を引き抜かれたが、新監督の元でその調子を維持できるのだろうか。三笘が加わったこともあり、今のところブライトンの試合は全部見ていたから、勝ったことに驚いているよ。
ここしばらく記者会見があるたびにターンオーバーとシステム変更について聞かれていたが、エメルソンの出場停止と2試合勝利なしを受けて、ついに3-5-2でのスタートを決めた。エメルソンの位置にはドハーティ、ビスマがアンカーに入ってセセニョン、デイビスも先発した。
おそらく3-4-2-1を予想し、対策してきたであろうブライトンは混乱したはずだ。中盤の枚数が増えたことでパスが回るようになり、ウイングバックも前方のスペースが開けているので思い切って上がりやすい。ソンも苦手なビルドアップへの参加頻度を抑えられるので、やりやすかったと思われる。スパーズがボールを握って試合を進めるという想定外の展開になった。
守備にはソンが左ウイングの位置に開き、ベンタンクールが右ウイングの位置まで出ていって相手のスリーバックのプレッシャーをかけていく。この過密日程でもベンタンクールはよく走るね。ホイビュアもだけどさ、頭が下がるよ。ブライトンは簡単にはボールを捨てない強者のスタイルで向かってくるが、3-5-2への有効な対策が見つからず、スパーズのプレスが珍しくハマっていた。まあそれでも随所にブライトンのチーム力の高さは見えていたけど。
普段のスパーズと同じフォーメーションだが、攻撃はブライトンの方が上手い。2列目のトロサールとグロスが積極的にペナルティエリアのライン、つまりニアゾーンでボールを受ける動きを繰り返し、複数の選手が連動してくるので捕まえにくく、いくつもチャンスを作られた。今のスパーズの攻撃陣の個人技に任せるスタイルだと守備へのリスクを考えても効率が良いのだろうが、ブライトンみたいなスタイルの方が気持ちいいよね。誰が出てもある程度やれるし。勝てるならどっちでもいいんだけどさ。
早い時間に奪ったラッキーゴールを守り切る試合展開だったが、これを守り切れるようになったことは昨年からの大きな成長だ。ブライトンの攻撃は綺麗だったが、時間が経つほどに守りきれそうな空気はあった。面白いなと思ったのが三笘が入ってサイドから仕掛けてくると見るや、リシャルリソンを入れてスリートップにした采配だ。一見フォワードの数を増やすという謎采配だが、あれは5-4-1にすることによって、サイドの守備に厚みを持たせる変更だった。追加点の可能性は減るけど、5バックにした時のスパーズの守備は本当に固くなった。
2点差で負けていれば順位が入れ替わっていたはずのアウェーでの大一番を制したことは大きい。上位勢が軒並み勝ったので差を縮めることも開かせることもできなかったが、意味のある勝利だった。ダイアーとホイビュアとベンタンクールを休ませるためにも、余裕のある試合を見たいしベンチメンバーの奮起も期待したいが、まずは目の前の試合に勝てたことを喜ぼう。次の試合はすぐにやってくる。