2023-2024 プレミアリーグ 第16節
Tottenham Hotspur 4 – 1 Newcastle United
Stadium:トッテナム・ホットスパー・スタジアム
通算戦歴:77勝31敗10分(勝率:66%)
得点
26分:デスティニー・ウドギ(Spurs)
38分:リシャルリソン(Spurs)
60分:リシャルリソン(Spurs)
85分:ソン・フンミン(Spurs)
91分:ジョエリントン(Magpies)
トッテナム・ホットスパー
FW ソン(91’ドンリー)、リシャルリソン(73’ロチェルソ)、ジョンソン(86’ヒル)
MF クルゼフスキ、ビスマ(86’スキップ)、サール(73’ホイビュア)
DF ウドギ、デイビス、ロメロ、ポロ
GK ヴィカーリオ
sub:フォースター、ドリントン、エメルソン、ベリス
ニューカッスル・ユナイテッド
FW ゴードン(74’リッチー)、イサク(64’ウィルソン)、アルミロン(64’ロングスタッフ)
MF ジョエリントン、ギマランイス、マイリ
DF リブラメント(74’ホール)、シェア、ラッセルズ、トリッピア(86’クラフト)
GK ドゥブラフカ
sub:カリウス、ギレスピー、ドュメット、マーフィー
借りはお返しいたしました
離脱者続出で緊急事態に陥り、苦しい時期を送っているのはスパーズだけではない。久しぶりのチャンピオンズリーグ出場による過密日程を乗りこなせず、負けず劣らずの怪我人が出ているのがニューカッスルだ。試合冒頭で下田さんがスパーズの8人に対し、ニューカッスルは10人+トナーリだと言っていた。条件はむしろ良い。
ウェストハム戦の後の記者会見で、ポステコグルーは言っていた。「試合内容が良かったとは思わない」と。攻め続けて勝てなかった試合なのにこの感想が出てくることにはハッとさせたれた。この人は就任してからずっと同じメッセージを発信している。「楽しいサッカーをしたいのではなく、勝つために攻撃サッカーをしている」
中2日しかない準備期間で、もう散々に言われたんだろうね。ゴールに向かう姿勢がまるで違った。実況の下田さんは何回か、攻撃時にペナルティエリアの中に入り込むスパーズの選手の数に言及していたけど、実は今まではそんなことはなかった。ホイビュアやロチェルソは下り目から試合に関わりたいタイプだし、クルゼフスキも外側からクロスを入れるのに忙しい。だから印象よりチャンスは生まれていなかった。今日は極端なほどに飛び込む人数が増えていた。
それが迫力を生んでいたし、それだけじゃなかった。ウイングの仕掛ける意識もまた、大きな違いになっている。しばらくぶりに左ウイングに戻って来たソンはかつての同僚キーラン・トリッピアに対し、君になら負けないぞと言わんばかりに1対1を仕掛けては2アシストを生み出した。近年のソンはこうした突破が影を潜めていたのでドリブラーからフィニッシャーに転向したのかと思っていたが、やればできました。あと個人的にはトリッピアが知っているトリッピアで安心した。ニューカッスルに移籍してからはリーグ最高の右サイドバックと言われる時もあったけど、僕の知っているトリッピアはキックの質は最高級で他はまあそれなりな選手だったので。
ソンがMVP級の活躍だった反対側でジョンソンも意識改革はされていたと思う。まだ途中って感じではあったけど。ポストに当てた2度のシュートもそうだし、サイドでボールを受けた時にいつもの癖で下げそうになりながら、思い出したかのように独力で前を向いた場面が何度かあった。やっぱりジョンソンは右の方がやりやすいんだね。
そして忘れては行けないのが、サールの貢献だ。オフザボールの動きが本当に気が利いている。特にビルドアップ時の右側下り目で顕著だったが、ロメロやデイビスがボールの出しどころに困っていると、すかさずスペースに走って選択肢になっていた。これがなかったこともここ最近の停滞の要因だった。ボールを持ってもホイビュアやスキップのようにすぐにボールを手放そうとするのではなく、自分で何メートルか運んでくれる主体性があるのでサールに任せやすい。ウドギと並んでサールは今のサッカーに欠かせない選手だということがわかってしまった試合だった。
そして最後にリシャルリソン。彼も最高のパフォーマンスだった。懸命に走ってプレスをかけてくれるだけでなく、かなり下がってきては正確なタックルでピンチの芽を摘んでいた。あれはかなり効いてたよ。さらに前に張り付くのではなく幅広く動いてボールに関わってくれることで、全体に流動性が生まれる。そしてきっちり2ゴール。加入1年半で初めての足でのゴールってどう言うことだよ。手術するまでは上手く動けなかったと言うのは本当らしい。見違えるようだった。
フットボールは相手のあるスポーツなので、いつだって自分たちのやりたいことがやれるとは限らない。でも今日見せたような意識の部分は継続してほしいところだ。怒られた直後に変わるなんてみんなそうだからね。強く意識して、出来ていなかったら仲間内で修正しあって、いつかこれが当たり前になるといい。およそ1ヶ月半ぶりの勝利は、半年前の6-1の雪辱を晴らす気持ちの良いものだった。