2024-2025 プレミアリーグ 第4節
Tottenham Hotspur 0 – 1 Arsenal
Stadium:トッテナム・ホットスパー・スタジアム
通算戦歴:87勝36敗10分(勝率:66%)
得点
64分:ガブリエウ・マガリャンイス(Gunners)
トッテナム・ホットスパー
FW ソン、ソランケ、ジョンソン(68’オドベール)
MF マディソン(80’ヴェルナー)、ベンタンクール(68’サール)、クルゼフスキ
DF ウドギ、ファンデフェン、ロメロ、ポロ
GK ヴィカーリオ
sub:フォースター、ドラグシン、デイビス、スペンス、グレイ、ペリヴァル
アーセナル
FW マルティネッリ(80’ジェズス)、ハヴァーツ、サカ(86’ヌワネリ)
MF トロサール(80’スターリング)、パーティ、ジョルジーニョ
DF ティンバー、マガリャンイス、サリバ、ホワイト
GK ラジャ
sub:ネト、キビオル、カクッリ、ヘブン、ルイススケリー、カビア
信念というもの
シックスポインターっていうサッカー用語があるじゃないですか。勝ったチームは3ポイントを獲得し、対戦相手は3ポイントを獲得できなかったという対比から、6ポイント分の価値がある勝利だ、という意味で使われる言葉です。個人的にはこの試合はもっと価値があると思っていたのです。優勝を狙うアーセナルをこの序盤に叩き、また今年も届かないのかと絶望させることが出来れば10ポインターくらいの意味はあるんじゃないかと。はい。ダメでした。
代表戦でビスマが負傷、代わりにソランケが戻ってきたというスパーズに対し、ライス出場停止でウーデゴーアが負傷離脱のアーセナルなので陣容ではこちらに分がある。アーセナルのベンチには知らない名前ばかりだ。そんなチーム状況なのでアルテタは割り切った戦い方をしてきた。守るつもりのアーセナルを崩すのはとても難しい。
開幕からの3試合は結果に関わらず内容は良いというのが衆目の一致するところだが今日は違う。ボールを握って押し込んでいただけで決して勝利に相応しい内容ではなかったと思う。押し込んだというもの正しい表現じゃないかもしれない。相手陣内でボールを回していただけだった。
ポステコグルーは上手くいかない試合の後によく「信念が欠けていた」といった話をする。それが何者なのか少しわかった気がするので、勝手に解釈を語ろうと思う。今のスパーズは攻撃的なサッカーを謳っているのに得点が奪えなかっただけではなく、ボール支配率に見合うだけのチャンスを作り出せないでいる。ほとんどの選手たちは悪くないプレーをしているように見えたが、それは単にミスを恐れて挑戦していないだけなのかもしれない。ポゼッションさえしていれば、いつか勝手に点が入ると思っているように見えるのだ。
アーセナルはかなり低い位置までラインを下げていたので、押し込む展開にするのは簡単だった。そこからいつもの悪い時の展開になる。ゆっくりと相手の守備ブロックの外側でボールを動かしているだけで何も起こらない。中央に縦パスを差し込めよと画面を見ながら何度思ったことか。ソランケを中心にクルゼフスキとポロが近い位置にいて、勝負できる場面はあったのにそこに出すのを怖がって外回しを続けていてもそりゃあこのレベルの相手は崩れたりしないでしょうよ。
上手くいってもいかなくても真ん中を攻略する意思を感じられないチームのするサイド攻撃はあまりにも無力だ。今日のスパースを止めるにはソンとジョンソンの縦突破さえ防いでしまえばそれで終わり。ウインガーの1対1の戦績がチームの結果に比例する戦いではこの先もだいぶ厳しい。
断っておきたいのだけど、だからポステコグルーは限界だと言いたいわけじゃない。これは選手たちの問題だと思う。相手の嫌がるところにボールを運んでビックチャンスを作りにいく気概が必要だ。ミスを恐れて簡単なプレーを選択していれば得るものも少ないということ。もし選手たちが果敢に挑み、責められない奪われ方からの失点が増えるようならその時初めて、リスクとリターンのバランスを取る選手配置の調整を監督がやるのだ。今はまだその段階に達していない。消極的なプレー選択を続けて受けるカウンターは消極的な部分に非があるのだから。
2年目のポステコグルーに期待をして始まったシーズンは開幕ダッシュに失敗したと言っていいと思う。これが去年の序盤だったら何も言われなかっただろうにね。とはいえまだチームは立て直せる。昨シーズンの終盤には失われていた活気が今のチームにはまだあるから。
ここから当たり前のように週に2試合のペースが続く。グレイやペリヴァルがいれば大丈夫だとプレシーズンマッチでみんなが納得したことで中盤の即戦力の補強はなかったわけだが、今日のダービーでは出番がなかったことで、その判断が正しかったのかが怪しくなってきている。18歳にはまだこの強度は早いと思われたのだろうがそれでは困る。カップ戦で力を示して戦力に厚みを出してくれ。本当はゆっくり時間をあげたかったけど、そんな余裕はなくなってしまった。