2024-2025 プレミアリーグ 第17節
Tottenham Hotspur 3 – 6 Liverpool
Stadium:トッテナム・ホットスパー・スタジアム
通算戦歴:94勝39敗12分(勝率:66%)
得点
23分:ルイス・ディアス(Reds)
36分:アレクシス・マクアリスタ(Reds)
41分:ジェームズ・マディソン(Spurs)
45+1分:ドミニク・ショボスライ(Reds)
54分:モハメド・サラー(Reds)
61分:モハメド・サラー(Reds)
72分:デヤン・クルゼフスキ(Spurs)
83分:ドミニク・ソランケ(Spurs)
85分:ルイス・ディアス(Reds)
トッテナム・ホットスパー
FW ソン(82’ヴェルナー)、ソランケ、クルゼフスキ
MF マディソン(58’ジョンソン)、ビスマ、サール(58’ベリヴァル)
DF スペンス、グレイ、ドラグシン、ポロ
GK フォースター
sub:オースティン、ドリントン、レギロン、ウドギ、オルセシ、ランクシャー
リヴァプール
FW ガクポ(68’ジョタ)、ディアス(87’ヌニェス)、サラー(87’エリオット)
MF マクアリスタ(68’ジョーンズ)、ショボスライ、グラフェンベルフ
DF ロバートソン、ファンダイク、ゴメス、アーノルド
GK アリソン
sub:ケレハー、クアンサ、ツィミカス、遠藤、ニョニ
これが強いチームってやつ
優勝候補と目されるチームが例年の強さを維持できていない今シーズンのプレミアリーグで、クロップの長期政権終わりで苦戦が予想されていたリヴァプールのみが調子を保ち、順調に首位を走っている。スパーズからして一番苦手な相手と言えるのがリヴァプールだ。昨年のホーム戦では勝ったものの、誤審と退場者2人のハンデを得てやっとだった。
ホームということもあって、スパーズの選手たちは勇気を持って試合に入ったと思う。その上で、リヴァプールに押された。
派手なスコアは妥当と言えるが、何もできずに敗れたというほどではない。ただし差は大きかった。一つ一つのプレーの質の差がじわりじわりとスパーズを追い詰めてくる。マディソンのゴールはマクアリスタのコントロールミスを突いたものだったので説得力をやや欠くが、それでも感想は変わらない。止める蹴るという当たり前に見えるプレーの正確性が違いを生んでいた。
ビスマとサールがファーストタッチの乱れを恐れていて、サポートして欲しいタイミングで相手選手の後ろに隠れていることが多い。スパーズのビルドアップは左に寄りがちで、主にスペンスのところから始まるのだけど、本来は横で顔を出して欲しいビスマが貰いたがらないので、縦に出してより狭くなることしかできなくなってしまう。マディソンもサイドに流れすぎるので真ん中に出しどころがない。たまらずソランケが降りてくることがあっても、あんな低い位置でソランケを使ってしまうとその前がなくなる。
その点リヴァプールの選手たちは複数の選手がボールを要求して顔を出すし、前方にボールが進むとそれより後ろの選手がどんどん前に走る。この前に出て行くプレーもスパーズの選手は少ないので、ボールを運ぶほどに味方がいなくなり攻撃の選択肢がなくなってしまう。攻撃がいとも簡単に跳ね返されていたのはこの厚みのなさが原因だった。そして跳ね返されることが続くと、無駄走りになってしまうことと、後ろのスペースを空けてしまうことを恐れてさらに出ていけなくなる。まあここら辺は上手くいっているチームの好循環ともがいているチームの悪循環ってところがよく出ていた部分だね。
なんか毎年リヴァプール戦の後は似たような気持ちになっている気がするんだけど、気持ちのいいほどの完敗だったと思うよ。前半に1点を詰めてこれなら後半に繋がると思った矢先に引き離してくるショボスライのゴール。試合が終わりかけていた中で意地を見せたソランケのゴールで2点差に迫った時には奇跡が頭をよぎったが、わずか2分でその勢いを止められた。相手に流れが傾きそうな瞬間にそれを引き戻せるところに本当の強さを感じる。特に後半は4点差がつき、リヴァプールの選手たちはギアを落としていたのに、85分にまた前に出ていけるなんて羨ましい限り。あのエネルギーはどうやって出すものなのかぜひ教えてほしい。スパーズが課題としている流れを引き戻すとはこういうことだと思えた。
ところでみなさん、この大敗からポジティブは拾えたでしょうか。僕は大いにあったと思う。残り30分で1-5のスコアなのにスタジアムの雰囲気はどこかおかしかった。あの時間であのスコアなのに、帰っているサポーターが非常に少なかった。それにだいぶと違和感を感じた。
通常プレミアリーグのお客さんはシビアなもので、先日のサウサンプトン戦のように、自チームが不甲斐ないとサポーターは容赦なく帰っていく。あの試合なんて前半途中なのに3点差で相当な人数が席を立っていた。でも今日のトッテナム・ホットスパー・スタジアムはそうではなかったし、そのタイミングで現地のスタジアムにはポステコグルーのチャントが鳴り響いていた。あれは少なくともあそこにいたサポーターの意思表示としての現体制への支持だったのだと思う。歌っていたサポーターは今のやり方の先の未来を信じていた。
それにピッチ上の選手たちの呼応した。あの点差にも関わらず闘志は消えていなかった。特にクルゼフスキの纏っていた覇気はもの凄く、中盤で一人で戦ってはチームを鼓舞していた。それがあの2点に繋がったのだと思う。ポステコグルーも触れていたけど、あの状況でもまだやれると戦ったことは前進だと言える。選手たちもこのやり方を諦めていないということだった。
相変わらず勝敗だけを見れば、調子が上がっているとは思えないものの、少し前に比べると絶望的な負け方ではなくなっている。次節ボクシングデイの試合は好調度合いで言えばリヴァプールをも凌ぐフォレストだ。というか今シーズン唯一リヴァプールに勝っているチームでもある。厳しい試合になるだろうがこの姿勢は続けたい。