2024-2025 プレミアリーグ 第14節
Bournemouth 1 – 0 Tottenham Hotspur
Stadium:バイタリティ・スタジアム
得点
17分:ディーン・ハイセン(Cherries)
トッテナム・ホットスパー
FW ジョンソン、ソランケ、クルゼフスキ
MF マディソン(80’ヴェルナー)、ビスマ(80’ベリヴァル)、サール(57’ソン)
DF ウドギ、デイビス(62’ポロ)、ドラグシン、ポロ
GK フォースター
sub:オースティン、レギロン、スペンス、オルセシ、ランクシャー
ボーンマス
FW エヴァニウソン(85’ブルックス)
MF タバーニア(85’ウナル)、アダムズ、クライファート(64’ワッタラ)、クリスティ(77’クック)、セメンヨ(85’ビリング)
DF ケルケズ、ハイセン、ザバルニー、スミス
GK ケパ
sub:トラバース、ヒル、アーロンズ、キンゼイウエルネス
まとまりが・・・ない
代表戦での中断明けに、絶不調のシティを叩いたことで気分を良くしたものの、そこからはローマとフラムに引き分けが続いた。シーズン序盤の頃と違って今は選手層も薄く試合内容も良くない。そんな中でいいサッカーをすると噂のボーンマスとのアウェー戦だ。試合前から厳しくなるとは思っていたが、あまりにも予想通りで逆に拍子抜けする試合になってしまった。ボール支配率だけは無駄に圧倒したが、スコアはもっと開いてもおかしくないくらいにボーンマスの試合だった。
連戦を考慮して今日のお休み枠はソンとポロ。これ自体は良いことだと思う。選択肢が少ないからといって酷使し続けるとさらに選手が減る羽目になる。今日のデイビスのように。まあ今のセンターバックの選手層でデイビスを休ませることはできなかったから仕方ないとは言えるが、この先どうするんだろうか。グレイを回すことにしてはいたが、この万能な若手でもセンターバックは出来ているとは思えない。前に出て潰しに行くべきタイミングが掴めていないのでずるずる引いてしまい危ない。チェルシー戦で今のメンバーしかいないなら、ウドギあたりにセンターは任せて、スペンスなりレギロンをサイドで使う方がまだ良いのでは。動きはわかっていなくてもウドギなら身体能力でカバーできる部分があるだろうから。
先発の話をしようと思っていたのにずれてしまった。ソンを温存することは良いのだが、代役がジョンソンだったのは疑問だった。左ウイングならソンとヴェルナーで回すのが良いと思う。得意の右サイドですら仕掛けないジョンソンは左だとことさらに消えていた。前半終了間際に自陣でボールを持ったジョンソンの前にスペースがあるのに、自ら運ばずにパスの出し先を探していた時はもう厳しいなと思った。ウインガーの役割は味方のお膳立てを待ってワンタッチでゴールを決めることではなく、自らが主体的にチャンスを生み出すことだと思う。なぜフル出場だったのかわからないよ。
クルゼフスキが右で先発したのにサイドに張るわけじゃなくて中央や左に自由に動いていた。あれが許されるのならジョンソンも自分の得意なエリアで勝負してくれればいいのにと思った。それと同時に、クルゼフスキが自由に動くのなら、右の大外でプレーできるサイドバックを置くべきだ。グレイは中央に入ってきてしまうので、ポロも温存するのなら、スペンスを使って欲しい。先発の並べ方のバランスが悪い。この辺のポステコグルーの考え方を聞きたいね。
ボールを握りつつロクにチャンスも作れない展開だった。チームとして重傷だなと思ったのは、中盤でビスマあたりが少し運んだ時に、出しどころがなくて困ってしまう場面が目につくことだ。グレイなんかもよく困っていた。
ここでボールを動かしているときは周囲の味方がこう動いてくれるはずだというイメージの共有がまるで出来ていない。それこそボーンマスはよく出来ていた、というか大抵のチームは出来ていることなのに今のスパーズにはそれがない。ボールを受けた選手が個人技で一人かわして初めて周りを見て確認している。そして受ける構えの味方がいなくて行き詰まることが多すぎる。思うに、空いている場所ではなく自分の欲しい場所でもらおうとしている選手ばかりなのだ。攻守の切り替えは素早く出来ているが、ボールを見ず、自分の得意ポジションに移動するために走っている選手しかいないので繋ぎのパスが出ない。運ぶプレーに関与する必要はないと思っている選手ばかり。この辺何とかしないとまずい。ペナルティエリアでのグラウンダーのクロスは徹底できているのだから、ビルドアップの動かし方も監督コーチ陣は整備できるはずだ。
それともうひとつ今日の発見を。この試合ではなくブライトンのハイライトを見ていて思ったことなんだけど、なぜウイングで攻撃が詰まるのかがわかったので共有したい。
他のウイングが強いチームはわかっていてもウイングの選手を止められずにいるのに、スパーズのウイングは簡単に止められている。前を向いて仕掛ける場面すら作れていない。ソンやジョンソンが早めにサイドに開いて待っているのがよくないとずっと思っていたのだけどそうじゃなかった。開いていること自体はいいのだけど、裏を狙う動きがないのがよくない。どういうことか。
ブライトンのハイライトとか、ここ最近のいつだったかの三笘の得点シーンを見て欲しいんだけど、サイドに開いて待っていてそこにサイドバックが寄せてマークしてくると、三笘は斜めに走って裏を取りに行く。ここで裏を取れると簡単に決定機になるので、裏に走る選択肢を持っているウインガーにはサイドバックは早めに寄せられない。すると普段開いて待っている時のマークは遠くなり、ウイングが仕掛ける間合いでボールをもらうこともできるようになるのだ。
スパーズのウインガーはこの裏を狙う動きがなく、絶対に足元でもらうとわかっているので近い距離でマークされてしまう。それなのでボールを受けても寄せが早くて前を向けなくなってしまう。たまにジョンソンが裏を狙うようなジェスチャーはしているがパスは出ない。なぜならリアリティがないから。多分その程度の要求だとパスの出しても本当にそこに通るイメージが湧かないのだと思う。何度も実際に走り抜けてみてパスを出さない味方に怒るくらいのことをしないといけない。それをやると、パスが出なくてもディフェンスの頭には迷いが生まれる。かつて左ウイングで得点を量産していた頃のソン・フンミンはそういう選手だった。このウイングの改善なら、チーム全体でイメージを共有する必要のある先ほどのビルドアップの話よりすぐに出来るはずだ。監督コーチ選手本人、どこに決定権があるのかはわからないが、気がついてほしいなと思ったポイントの話でした。ご静聴ありがとう。
疲れとか戦う意識とか献身性とかが言われそうな試合内容だったし、その意見もわからなくはないが、今スパーズの試合を見ていてどこかチグハグに感じてしまう要因は、シンプルに個々がどう動くのが最適なのかわからずに迷っているからだと思う。練習の時間が取れない過密日程なだけに特効薬は勝利と自信しかないのだけど、それを手にできるだろうか。少なくとも今のチェルシーは・・・強いぞ。