[PL]第19節 トッテナム・ホットスパー vs ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ

2024-2025 プレミアリーグ 第19節

Tottenham Hotspur 2 – 2 Wolverhampton Wanderers  

Stadium:トッテナム・ホットスパー・スタジアム
通算戦歴:94勝39敗13分(勝率:66%)  

得点
 7分:ファン・ヒチャン(Wolves)
12分:ロドリゴ・ベンタンクール(Spurs)
45+3分:ブレナン・ジョンソン(Spurs)
87分:ヨルゲン・ラーセン(Wolves)

トッテナム・ホットスパー
FW ソン(64’ヴェルナー)、ソランケ、ジョンソン(64’マディソン)
MF ベンタンクール、ビスマ(64’サール)、クルゼフスキ
DF ウドギ(50’レギロン)、グレイ、ドラグシン、ポロ
GK フォースター
sub:オースティン、ドリントン、ベリヴァル、オルセシ、ランクシャー

ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ
FW クーニャ(46’ラーセン)、ヒチャン(79’ボルジェス)、ベルガルジ(46’ゲデス)
MF アイヌーリ、アンドレ(69’ドイル)、ゴメス、セメド
DF ドーソン(79’ゴメス)、ブエノ、ドハーティ
GK サー
sub:ジョンストン、メウビヨ、リマ、ボンド

なんかバラバラなのよ

 2024年も最後の試合になりました。やっぱりヨーロッパの大会への出場権を獲得すると、試合数が格段に増えるね。いろんな選手や監督が昨今の試合数の増加傾向に対しての警鐘を鳴らしていたのは聞いていたけど、ようやくそれを実感した。きっと負傷者も少なくて順調にチームが回っていたら、いろんな選手を使う理由にもなるし勢いも出るからある程度の過密さは良いことだ、なんて言っていただろうから、やはり何事も当事者にならないと認識できないことがあるなという学びになりました。

 さて、センターバック0人問題はドラグシンの頑張りによって回避された。前節の交代によるダメージがどんなものだったのかはわからないが、この出場には疑問が残る。ロメロやファンデフェンのように復帰戦での再発を問題視していると会見でも話している時にまた同じような判断をしていないですかと。幸いドラグシンは乗り切ってくれたけど、さらなる長期離脱者を出してしまうリスクはあったはず。結果オーライとして良いものだろうか。

 連戦に次ぐ連戦で、疲れているはずではあるものの選手たちは気合いを見せてくれていると思う。今からまた色々言うけど、それこそヌーノ監督の最後の頃のように戦う意思すらなくなっているとは思っていない。だからこそもどかしい。ちょっとしたことで変わるんじゃないかと思いがら毎試合のように結果がついてこない試合を見るのは。

 今日のテーマは「バラバラ」。個々の頑張りが結果に結びつかないのはチームとしてバラバラな部分があるからだ。3つ例を挙げる。

 まずは最近ずっと言っているリスタートについて。繰り返しになるから読み飛ばしてくれてもいいんだけど、ゴールキックや中盤でファールを受けた時の試合の再開を無駄に急ぎすぎている。ゴールキックを例に挙げると、守備に戻っていたFWやMFがポジションに戻ろうとしている段階で、フォースターが慌てるようにCBにパスを出して試合を始めるのだけど、グレイやドラグシンですら準備が出来ていないのにリスタートしていることがある。当然のように前の選手たちも間に合っていないので出すところがなくて奪われるか、フォースターに下げて狙いのないロングボールを蹴って相手ボールにしているかどちらかばかりだ。

 効果的であるケースが少なすぎてメリットが見えてこないのに続けているのは本当に監督の指示なんだろうか。チームとしての決まりならフィールドプレイヤーの誰も準備出来ていないのは違和感がある。GKは疲れていないから急げるんだろうけど、他の選手の様子を見て急ぐ時と時間を作る時を判断するのもベテランキーパーとしての存在感なんじゃないかなフォースターさん。

 次はハイプレスについて。これもある意味では似ている話なのだけど、前線の選手たちだけが追っている場面が少なくない。スパーズは相手のハイプレスに簡単にハマるのに、スパーズのプレスが簡単にかわされるのは何故だろうと思って見ていると、答えは簡単だった。

 解説の戸田さんが「スパーズは絶対にハイプレスに行く」と言っていたのはその通りで、スリートップとトップ下のクルゼフスキまでは相手がボールを後ろに下げて最終ラインにボールが行くと、勤勉にそれを追いに行く。FWからすると自分が奪える可能性なんてほぼないのに、本気のプレスを続けるのはかなりしんどい作業だ。あれは自分のプレスで相手の選択肢を奪い、後ろの選手がボールを刈り取ってくれると信じているからできることなのに、後ろの選手がついてきていないことが多い。ただしこれは後ろがサボっているという単純なことではない。

 相手のゴールキックみたいな場面は全体を押し上げる時間があるし、ハイプレスを発動する準備を全体で済ませてから追うことができるので効果が出る。問題は中盤より自陣まで運ばれた後に相手が下げたボールまで問答無用で追う時だ。今は行くべきか行かないべきかという判断をボランチ以下の選手はしているのに対し、前線は必ずハイプレスを仕掛ける。チームの意思統一が出来ていない時のプレスは簡単に外される。失礼なことを言って申し訳ないが、リヴァプールのようなチームだけでなく、ウルブズにすらハマらないのなら、今のやり方は間違っているという証明じゃないのかな。

 チームのスタイルとしては愚直に追いかける前線が正しいとも言えるが、後ろの選手たちの判断が悪いとも言い難い。僕はサッカーをやっていた時には前線の選手だったから守備陣の心境は計りにくいのだけど、押し込まれているのに相手のバックパスに合わせるようにラインを上げてハイプレスハイラインにするのは怖いのだと思う。誰かが連動していないだけで後ろはスペースだらけになるし、何より体力的にも厳しいものだから。

 ただしそんな「現実的じゃない」みたいな意見はポステコグルーには効果なしだろうから、それなら後ろにも厳しく言って連動させるべきだと思う。出来ないのなら行く行かないの判断のあるプレスにするしかない。今のように中途半端な状態が一番良くない。個人的には今の問答無用プレスはそれはそれで相手の餌食になるとは思うけどね。ちょっと下げれば食いついてくるし消耗してくれるのなら対策も楽だから。

 長くなってきたけどもう一つ、カウンターについて。自陣に押し込まれたところからでもボールを拾えたらとにかくロングカウンターを狙うのも劣勢を回避できない要因になっている。取ったらとにかく前線に素早くボールを入れているが、それについていく選手が少なすぎる。そういう時にこそサイドバックは攻撃参加してほしいし、中盤はアンカーを残して飛び出してほしい。センターバックも切り替えて最終ラインを上げてほしい。

 そうしたまとまりがないままに前線にボールを預けても、囲まれてどうしようもないままにボールを失って次の攻撃受けるだけだ。狙いのある攻撃というよりはウインガーの一発に賭けた一か八かのギャンブルにしか見えない。

 これも守備の件と同じように、行くかどうかのメリハリをつけるか一部の選手ではなく全員でカウンターを繰り出すように徹底しないといけない。守備から攻撃への切り替えで自分は関係ないという顔をして歩いている選手が多すぎる。槍玉に上げて悪いけど、目についたのはサールだった。

 まあでもやっぱり、攻守に全力で出力し続けろという戦術は流石に理想すぎるんだろう。全体的な信念には共感するものの人間に出来る範囲を超えている気がしてきた。これは予想なんだけど、マリノスやセルティックで上手くいっていた時はもう少し落ち着く時間があったのではないかと思う。よくリーグレベルが低いから成功していたという論調で今までの成功体験は通用しないぞと言われるけど、問題はリーグレベルではなくリーグの性質なんじゃないかと思う。

 プレミアリーグにはポステコグルーのスタイルに関係なく、そもそもボールを奪ったら前に進んで行けよという文化がある。意味のないバックラインでのパス回しは味方にすらブーイングが飛ぶ。スコットランドは知らないけど、Jリーグを見ている時にあるような、目的が何かわからないままに最終ラインでボールを回している時間がない。ちなみにプレミアリーグばかり見ているとわからないが、W杯でもユーロでもそうした空白のような時間が試合中にあるから、特殊なのはプレミアリーグの方であって決してJリーグのレベルの話ではないと断っておきます。

 そうした休みのなさが魅力のリーグの中でさらなるエネルギーを求めているから苦しくなっている。何が言いたいかというと、他のリーグの時はポステコグルーの望みに関わらず、落ち着く時間があったんじゃないかと思っている。それがプレミアリーグの文化と合わさると限界を超えてしまうということなんじゃないかと。だからこそ、ポルテコグルーはプレミアリーグと自分の理想の落とし所を探ってほしい。みんなあなたの目指す先を信じたいと思っているから。攻撃的であり続けるための方法を見つけてほしい。

 年の瀬にいつもの倍近い文章を読んでくれてありがとうございます。正直明日にも解任の発表があっても驚くことではない成績にはなっているけど、最後までポステコグルーを信じていたいと、今はまだ思っています。冬の補強は必要だけど、それで解決する問題ではないなとも思っているので安定して戦えるようになるのにはまだ時間がかかるかな。

 今年も一年お世話になりました。個人的な話を少しすると、今年は色々と生活に変化がありまして、書き続けられないかもと思ったりもしたのですが、今のところは大丈夫そうです。今のチーム状態よりは良くなっていくと信じて来年からも共に戦っていきましょう。寒い時期なのでお体には気をつけて。良いお年を!

2023-2024シーズン 試合結果一覧

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