[PL]第13節 トッテナム・ホットスパー vs アストン・ヴィラ

2023-2024 プレミアリーグ 第13節

Tottenham Hotspur 1 – 2 Aston Villa 

Stadium:トッテナム・ホットスパー・スタジアム
通算戦歴:76勝30敗10分(勝率:66%)  

得点
22分:ジオバニ・ロ・チェルソ(Spurs)
45+7分:パウ・トーレス(Villans)
61分:オリー・ワトキンス(Villans)

トッテナム・ホットスパー
FW ヒル(71’スキップ)、ソン、ジョンソン
MF ロチェルソ(86’ベリス)、ベンタンクール(32’ホイビュア)、クルゼフスキ
DF ウドギ、デイビス、エメルソン、ポロ
GK ヴィカーリオ
sub:フォースター、オースティン、ダイアー、ドリントン、ドンリー

アストン・ヴィラ
FW ワトキンス(92’デュラン)、ディアビ(46’ティーレマンス)
MF マッギン(91’ラムジー)、ルイス、カマラ、キャッシュ(46’ベイリー)
DF ディニュ、トーレス、カルロス、コンサ
GK マルティネス
sub:オルセン、ラングレ、デンドンケル、モレノ

これだけやれたという方に目を向けたい

 流石に無敗を維持していた時ほどではないが、今の状態でも週末の試合を楽しみにできている事に少し驚いている。去年は勝っていても楽しみじゃなかったのだからえらい違いだ。いよいよ出場できない選手で架空のチームを組んだ方が強いのではないかと思うほどに戦力が急激に低下している。代表ウィークを経ての復帰はなく、サールとフィリップスを怪我で失った。

 先発メンバーが発表されただけで、厳しい試合になることが明白だった。先発にサイドバックが4人、ウイングが4人並んでいる。最先端のトレンドはグアルディオラ考案の4バックを本職センターバックで並べる形だというのに。僕らは来るかどうかわからないフットボールの未来を見ているのだろう。そう思うことにしよう。

 さらにいうと、ベンチにはベリスも含め、まだ起用できるレベルにはない若手が3人とキーパーも2人入れて水増しする始末。それでも登録可能な9人を集めることはできなかった。というか、この状況になってもダイアーがベンチにいるのはおかしいだろ。若いフィリップスよりはダイアーの方が序列は上っぽいのに、この後に及んでも出番がないなら、そもそもCBの3番手がいないと分かっていながらシーズンを始めたことになる。そりゃあこんな事態になるって。ずっと期待しながら完全移籍のオファーが届くことがなかったラングレは、相手方のベンチで冷笑していたに違いない。

 結果は3連敗という苦いものだったが、内容はというと悪くないものだった。クルゼフスキを中盤に起用し、ヒル、ロチェルソの初先発組がいるという実験的な采配ながら、チャンスは作りまくっていた。相変わらず、面白い試合だった。負けたけど。

 一番違いを生んでいたのはやはりウドギだったのかなと思う。自由な動きで相手を撹乱し、ボールを持てば五分五分の勝負にまず負けない強さがあるのでボールは回ってくるし常にチャンスに繋げられる。この役割は他の誰にもできそうにない。

 次点でロチェルソも良かった。マディソンの代わりを任せるのではなく、ロチェルソの好きな低い位置からボールを循環させる仕事を任せられたことで、存分に能力を発揮していた。代わりにゴールに近い位置の仕事は、中盤に入ったクルゼフスキが担当する。この人も強烈に存在感があった。ビルドアップの時に右側でポジション取りに迷って上手くボールを引き出せていない瞬間はあったものの、最終局面に入った時は誰よりも怖い選手だった。あとは決定力、これが課題ですかね。

 これはもうケインとソンに頼り続けたスパーズの悪いメンタリティなんだけど、シュートを打つべき場面で半端な横パスを選択して失敗することが今日だけでも結構あった。これはブライアン・ヒルもそう。ウドギのおかげで左にボールが偏るので、ヒルも割と目立っていた。期待値よりはだいぶ良かったが、まだ噛み合っていない部分も多い。あからさまな横パスでチャンスを失ったシーンにはちょっと悲しくなったよ。動きの量は魅力的だから次は質だね。逆にジョンソンはあんなに早くバテたら困っちゃうよ。ベンチいないんだからさ。

 そう、ベンチの薄さはかなり致命的な問題だった。いつだってハイプレスのポステコグルースタイルは前線とサイドバックの消耗が激しい。が、クルゼフスキの中盤起用に伴って、まともな控えがいなくなってしまった。中盤もホイビュアが早々に出勤させられたおかげで次がない。スキップには申し訳ないが、今のスキップに対する期待値はほぼ見たことがないドンリーやドリントンとあまり変わらないレベルにまで落ちている。出てきても何かしてくれる気がまるでしない。

 だからこそ、ベンタンクールの怪我はダメージが大きい。この試合でも中盤でかなり期待できるプレーを続けていたのに、全く不用なタックルで10ヶ月ほどのリハビリを頑張ってきたベンタンクールの想いは踏み躙られる事になった。軽症であってくれと切に願う。これ以上は言及しないでおく。

 これだけの戦力しかないながら、十分に面白いサッカーが見られたので満足感は高い。ディフェンスが緊急事態なのに変わらずに攻撃サッカーを貫くなんて間違っているという意見を見かけることもあるが、このままの路線で突き進んでほしい。守備の戦術で世界に名を轟かせてきたコンテやモウリーニョでも守れないので、試すだけ無駄である。

 10戦無敗からの3連敗だと話題だが、ここからシティ、ウェストハム、ニューカッスルと続くので、6連敗までは大いにあり得る。しばらくはどれだけ負けようと、解任なんてあるわけないと個人的には思っているので、殴り合い上等のスタンスでぶつかっていけばいい。今日のような負け方なら全然良い。ついていく覚悟はあるぜ。

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